タイ政府、トランプ対応に準備、米国企業へのトップセールスも実施

(タイ、米国)

バンコク発

2025年03月04日

タイのピチャイ・ナリプタパン商務相は2月10日、米国の首都ワシントンを訪問し、米国商工会議所(USCC)や米国ASEANビジネス評議会(USABC)の会員企業と面談したと報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国産業界との経済関係強化を狙ったトップセールスを行った。

協議には、米国大手企業26社が参加した。ピチャイ商務相は、2024年にタイにおける投資申請額は1兆1,300億バーツ(約5兆850億円、1バーツ=約4.5円)を超え過去10年で最高を記録し、輸出も5.4%拡大するなど好調を示し、データセンターや人工知能(AI)のハブ拠点になるとの見方を示した。米国企業に対しては、製薬業やエネルギー分野、デジタル、農業・食品などの分野で投資を呼びかけた。

ピチャイ商務相は、グーグルとも個別に面談を実施。同社がタイで進行中のデータセンター事業のさらなる事業拡大やサイバーセキュリティー上の協力、タイが交渉議長役を務めるASEAN10カ国によるデジタル経済枠組み協定(DEFA)の進捗などを協議した。

米国の対中関税により中国製品の流入を懸念

米国のドナルド・トランプ新政権のタイ経済への影響について、タイ財務省財政政策局(FPO)は見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。トランプ政権が高関税を課す場合、コンピュータ関連などの電子機器やゴム製品、農業分野においてタイ製品の対米輸出に影響を及ぼすことが想定される。加えて、米国の対中関税によって、中国製品のアジア地域への流入につながるとして、自動車や化学、建設資材、繊維などの分野で、タイ製品の競争環境が厳しくなると見込んでいる。

PFOは、影響を緩和する方策として、エレクトロニクス分野などでの貿易の多角化やハイテク産業のさらなる投資誘致、米国民のタイ観光の促進などを列挙。その達成に向けて、交渉中のタイEU・自由貿易協定(FTA)への取り組みや経済特区を含む事業インフラの整備、クリーンエネルギー産業への税制優遇、デジタル決済や高速通信の環境向上などの政策の必要性を強調している。

(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、米国)

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