ペートンタン首相、投資機会への強いコミットメント表明
(タイ)
バンコク発
2025年03月25日
タイ投資委員会(BOI)は3月12日、首都バンコクで「イグナイト・タイランド:インベスト・イン・エンドレス・オポチュニティーズ(Ignite Thailand:Invest in Endless Opportunities)」を開催した。フォーラムには、タイのペートンタン・チナワット首相や、ピチャイ・チュンハバジラ副首相兼財務相、BOIのナリット・タードサティーラック長官らが登壇した。
ペートンタン首相は基調講演で、政府は投資家の信頼強化のため、インフラ整備や人材開発、戦略的産業に対する優遇措置などを積極的に推進しており、タイは魅力的な投資先だと強調した。具体的には、高速鉄道計画、鉄道の複線化、1,500億バーツ(約6,600億円、1バーツ=約4.4円)規模のレムチャバン港の第3期拡張など、主要なインフラプロジェクトに触れた。さらに、チュムポーン県(タイ湾側)とラノーン県(アンダマン海側)を陸路で結ぶランドブリッジプロジェクトの実現によって、タイが貿易と観光のハブとして確立されると強調した。
加えて、戦略的産業として、デジタル技術や半導体、データセンターの重要性に言及するとともに、同分野での科学技術人材の育成計画や、高度人材の誘致計画について説明したほか、タイの観光業が新型コロナウイルス禍以前の水準まで回復したことに触れ、ソフトパワーの活用、バンコク以外の新たな観光地の開発により、さらなる観光客誘致を目指すとした。
ペートンタン首相は講演の締めくくりに、「タイの経済成長には、政府、民間、国民の全てのセクターの協力が必要だ。全員が協力することで、持続可能で長期的な経済発展を推進することができる」と発言した。
基調講演を行うペートンタン首相(ジェトロ撮影)
続く基調講演でピチャイ副首相兼財務相は、タイ経済は回復傾向にあり、2025年のGDP成長率は3%を上回る見通しと述べた。ここ数年、GDP成長率は低下しているものの、外貨準備高は2,000億ドルを超え、経済の安定性はあり、安心してタイに投資をしてほしいと呼びかけた。
また、太平洋とインド洋を結ぶハブとしてのタイの戦略的立地も強調した。タイは約6億7,000万人の市場に囲まれ、自然災害のリスクも低く、紛争のない「コンフリクト・フリーゾーン(Conflict Free Zone)」であるとともに、安定的かつ価格競争力のある電力供給インフラが投資先としての魅力を高めているとした。加えて、2050年までにカーボンニュートラルを達成し、2065年までにネットゼロエミッションを達成するという政府のコミットメントにも言及した。
最後に「産業革新に向けた投資促進」と題したパネルディスカッションで、ナリット長官は、バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済産業や、次世代自動車、半導体・先端エレクトロニクス、デジタル、国際ビジネスセンター(地域統括拠点)といった新産業でのBOIの投資戦略や恩典について説明した。そのほか、デジタル経済社会省(MDES)、エネルギー省(MOE)、高等教育・科学・研究イノベーション省(MHESI)はそれぞれ、デジタル化、カーボンニュートラル達成、人材開発の観点から、投資誘致に向けた取り組みについて説明した。
(上江洲祐貴)
(タイ)
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