米財務省、在米外国企業の実質的所有者報告義務の暫定最終規則を発表

(米国)

調査部米州課

2025年03月27日

米国の財務省は3月26日、在米企業に対し(注1)報告を義務付けている実質的所有者情報(BOI)についての暫定最終規則(Interim Final Rule)を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日付の官報でも公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これに先がけ、同省の金融犯罪取締ネットワーク局(FinCEN)が3月21日、同規則の詳細を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。これら2つの公表を総合すると、日系企業が関係し得る内容は次のとおりとなっている。

  • 外国報告会社(foreign reporting company、注2)に分類される組織体は、BOI報告が求められる。ただし、米国人(U.S. person、注3)が実質的所有者の外国報告会社はこの義務が「免除」される。FinCENは、今回の暫定最終規則に対するコメントを5月27日まで受け付けるとし、提出されたコメントを踏まえ適切に「免除」の内容を検討し、最終規則を2025年内に発する意図がある、としている。
  • 限られた例外を除き、本暫定最終規則は、外国報告会社に対するBOI報告義務をこれまでと変えることはないが、初回、更新、訂正の各報告の期限は、3月26日の今回の財務省公表から30日の追加期間を与えるとしている(注4)。

この報告義務は、企業を通じた国家安全保障を脅かす違法活動を取り締まるため、連邦レベルのルールとして2021年に制定された企業透明化法(CTA)に基づき、2024年1月1日に発効した規則だ。対象となる中小企業の大半は、2025年1月1日までにFinCENに定められた情報を報告することが義務づけられていた(2024年11月5日付地域・分析レポート参照)。

これに対し、義務の差し止めを巡る司法判断が二転三転し、直近では財務省が3月2日に、米国民・米国内会社に対してはCTAの報告義務の執行を停止する判断を下した。義務が残った外国報告会社については、規則の範囲を狭める提案を今後出す、と併記していた(2025年3月6日記事参照)。

(注1)既に個別法で企業情報の報告義務が課されている業種を除いた企業・組織が対象で、中小企業の大半は義務の対象になるとみられる。

(注2)外国の法律に基づいて設立され、米国の州または部族管轄領域で事業登録をした企業、LLC、その他の事業体と定義されている。

(注3)米国の内国歳入規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米国市民・居住者、国内法人などと定義されている。

(注4)この期限は、3月26日の財務省公表より前に米国で事業登録をした組織体に適用される。3月26日以降に事業登録をした場合は、登録が有効になったとの通知を受け取った日から30日以内に初期報告をしなければならないとされている。

(本井秀樹)

(米国)

ビジネス短信 bf726ee088b26909