インドで「ビジョン・サミット」開催、ジェトロとインド電子・半導体協会がMOU締結
(インド、日本)
調査部国際経済課
2025年03月28日
インドのグジャラート州ガンディナガルで3月5~7日、半導体分野の世界の主要プレーヤーが集うカンファレンス「ビジョン・サミット」が開催された。ビジョン・サミットは、半導体をテーマとしたイベント「グジャラート・セミコネクト
」(注1)の一環で行われた。
ビジョン・サミットでは、地場の半導体関連企業や業界団体、政府機関のほか、インドで事業を展開している外資系企業などが講演を行った。3月5日の開会あいさつで、グジャラート州政府のモナ・カンダール科学・技術担当首席次官は「グジャラート州の半導体製造(ファブおよび後工程)企業数はわずか1年で1社から6社に増加。これら企業による総投資額は1兆2,500億ルピー(約2兆円、1ルピー=約1.75円)を超える」と述べ、同州の成長可能性に対する投資家からの期待が高まっていることを強調した。
グジャラート州は、2022年7月にインドで初めて州独自の半導体政策「グジャラート半導体政策2022~2027」を発表。連邦政府による支援スキームである「Modified Programme for Semiconductors and Display Fab Ecosystem
(修正版半導体・ディスプレーファブエコシステムプログラム)」により承認されたプロジェクトに対し、土地取得や、設備投資費用、電気代や水道代の補助といった支援を行う(2024年12月3日付地域・分析レポート参照)。
企業による講演では、「グジャラート州ではビジネスの立ち上げが容易。迅速な行政対応、資本と労働力へのアクセスのしやすさには恩恵を受けている」「グジャラート州産業開発公社(GIDC)や州環境汚染管理委員会(GPCB)など政府機関の支援(注2)により、プロジェクトの進捗が加速している」など、グジャラート州の強みや州政府の支援・対応への評価が聞かれた。
ビジョン・サミット会場の様子(ジェトロ撮影)
ビジョン・サミットでは、複数の企業・機関などの間で覚書(MOU)が締結された。ジェトロもインド電子・半導体協会(IESA)とのMOU締結を発表した。MOUの下でジェトロとIESAは、インド・日本での事業拡大に関心のある企業などに関する情報交換を行い、電子・半導体関連企業のビジネス機会創出に向けた連携を強化する。また、ミッションの相互受け入れや、イベントの共催などでも協力していく。ジェトロの石黒憲彦理事長は「半導体製造はインドにとって新しい挑戦だが、インドの半導体人材はすでに世界で活躍しており、その経験が国内で生かされることを確信している」と述べた。また、「長年にわたり知識・ノウハウを蓄積してきた日本の半導体関連企業は、インドに大きく貢献できる」とし、今後の2国間の連携に期待を寄せた。
(左)ジェトロとIESAのMOU締結、(右)ジェトロの石黒理事長の講演(ジェトロ撮影)
(注1)グジャラート・セミコネクトは、グジャラート州政府、インド電子・半導体協会(IESA)、半導体の国際的な業界団体であるSEMIなどが共同で開催するイベント。ビジョン・サミットのほか、展示会や企業・政府間のラウンドテーブルなどが開催された(2025年3月18日記事参照)。
(注2)GIDCは土地取得、GPCBは環境関連の許認可手続きなどを支援している。
(宮島菫)
(インド、日本)
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