ベルギーの300人規模のミッションがインドを訪問、鉄鋼の脱炭素化や水素などで関係強化

(ベルギー、インド)

ブリュッセル発

2025年03月28日

ベルギー連邦外務省は、対外貿易庁および3地域の貿易投資促進機関(注1)と共同で、3月1~8日にアストリッド王女が率いる経済ミッションをインドに派遣した。宇宙・防衛、ヘルスケア・ライフサイエンス、気候変動・再生可能エネルギー(再エネ)、環境に配慮した建設、鉄鋼の脱炭素化、輸送・ロジスティクスの6分野に焦点をあて、ベルギーから181社・機関、316人が参加した。

ミッション中、複数の覚書(MOU)が締結された。ベルギー機械大手ジョンコックリルはインド工科大学ボンベイ校と、鉄鋼の脱炭素化技術や、グリーン水素のバリューチェーン、防衛製品の開発におけるイノベーションを進めるMOUを締結した。また同社は、インド最大の建設・総合エンジニアリング会社のラーセン・アンド・トゥブロ(L&T)傘下のエネルギー部門であるL&Tエナジーグリーンテックと、集光型太陽光発電(CSP)と熱エネルギー貯蔵(TES)の技術開発に向けたMOUも締結した。

気候変動・再エネ分野では、フランダース政府貿易投資局(FIT)とベルギー水素協議会が、グリーンH2インドと、再生可能な水素と代替エネルギーソリューションの生産を促進するMOUに調印した。また、ブリュッセル首都圏政府貿易投資局は、ハイデラバードのイノベーション施設T-Hub(Tハブ)と再エネ分野や人工知能(AI)分野で、両国のスタートアップを支援するMOUに調印した。

投資事例では、今回のミッションに合わせて、冷凍ポテト製品を生産するアグリスト(AGRISTO)が、インド北部のビジノールの生産施設拡大に8,000万ユーロの投資を発表した。インドだけでなく、北米や中東、東南アジア、日本にも製品を供給したい意向だ。

2国間の貿易関係をみると、インドとベルギーの主な貿易製品は、化学工業品や真珠・貴石・貴金属(注2)。2024年の真珠・貴石・貴金属のインドからの輸入額は約15億ユーロ(輸入額全体の44.0%)、インドへの輸出額は約18億ユーロ(輸出額全体の48.1%)だった。一方、直近3年間の同製品の輸出入は縮小傾向にある。今回のMOU締結分野からも、関係を多角化したい意向がうかがえる。

(注1)ベルギーは連邦制を採用しており、フランダース、ワロン、ブリュッセル首都圏の各地域政府が経済政策を管轄している。

(注2)ダイヤモンド、ダイヤモンド加工製品が中心。

(大中登紀子)

(ベルギー、インド)

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