IIPPF(国際知的財産保護フォーラム)、アリババ傘下の淘天集団と意見交換会

(中国)

知的資産部知的財産課

2025年03月25日

ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)と、中国アリババ傘下の淘天集団は2月27日、模倣品対策に関する年1回の定期意見交換会を実施した。

今回は浙江省杭州市のアリババ本社を開催地として、IIPPFから20人がリアル参加、13人がオンライン参加した。この定期意見交換会は、アリババグループが運営するECプラットフォーム上の模倣品の撲滅に向けて、ブランド権利者の日本企業が同グループや淘天集団の知財保護に関する体制、システムに対する理解を深め、アリババに要望を伝えることを目的として開催している。

今回の意見交換会では、まず淘天集団の担当者から、ブランド権利者の利益を保護するための知的財産権保護プラットフォーム(注2)について説明があった。それによると、同プラットフォームでは、アリババグループが運営する複数のECプラットフォーム上に出品された商品、出店者(ショップ)、ライブコマースコンテンツの3つの項目別に権利侵害の申し立てが可能だ。2024年末時点で同プラットフォームには75万の権利者アカウントが登録されている。また、2023年には同プラットフォームの利便性向上に向けて、ページのレイアウトをリニューアルしたほか、権利者から同プラットフォームの改善点や要望を淘天集団側に伝えるためのコミュニケーションチャンネルも開設した。

さらに、同プラットフォーム上で知財紛争を多面的に解決するオンライン調停メカニズムを2023年に導入し、導入以来の累計調停成立件数は2,700件以上に上るという。オンライン調停は第三者機関を通じて行われ、権利侵害案件を解決する手段として用いられる。淘天集団担当者は、同オンライン調停メカニズム導入・運営に当たって、浙江省杭州知的財産権訴訟調停センターとの協力体制についても強調した。

このほか、淘天集団担当者は同プラットフォームでの「誠信申し立て制度」について説明した。同制度への参加により、権利者は削除申し立てに関する手続きの簡素化や、削除審査時間の短縮、淘天集団担当者の専門窓口の利用(定期的な電話会議でのコミュニケーションが可能)などの優遇措置が享受できる。なお、同制度への加入条件として、同プラットフォームへの登録から90日間が経過、かつ違反行為がないことに加え、権利侵害に対する申し立て成功率(削除成功率)が90%以上、(申し立てに対する)出品者の反論成功率が5%以下、直近3カ月間の申立件数が100件以上などが挙げられた。

淘天集団による取り組み紹介後には、参加企業との意見交換を実施した。

参加企業からは、模倣品の削除申し立ての具体的な方法についての質問のほか、意匠権侵害など特定の権利侵害に基づく削除申請を行った際に、淘天集団側担当者によって対応が異なる場合があり、削除の基準を統一してほしいといった要望が寄せられるなど、活発な意見交流が行われた。

写真 アリババハイテク展示館での記念写真(アリババ提供)

アリババハイテク展示館での記念写真(アリババ提供)

写真 IIPPFとアリババとの意見交換会(ジェトロ撮影)

IIPPFとアリババとの意見交換会(ジェトロ撮影)

(注1)IIPPFは2002年4月に、模倣品・海賊版などの海外での知的財産権侵害問題の解決に意欲を有する企業・団体によって設立され、2025年3月時点で191社・73団体が参加している。IIPPFの活動母体の地域・分野別の各プロジェクトチームでは、海外の政府機関や海外ECプラットフォーマーなどとの意見交換会を実施している。

(注2)アリババの主要6グループのうち、淘宝やTmallなどのサービスを提供する淘天集団と、AliExpressなどのサービスを提供する国際商業集団は、それぞれ異なる知的財産権保護プラットフォームを有する。

(泉高晟)

(中国)

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