インドで日系物流企業の動きが活発化
(インド、日本)
チェンナイ発
2025年03月14日
インドにおける日系物流企業の動きが活発化している。インドの物流業界のサービスが発展段階にあることに加え、道路など物流インフラが未成熟である中で、経済成長に伴う物流量の増加、規制緩和などに商機を見いだしている。
安田倉庫は、2023年6月にインド物流会社ワールドゲート・エクスプレス・ライン・インターナショナルを買収し、インドに参入した。インド国内のネットワークと顧客獲得のための時間を、インド企業を買収することで短縮したかっこうだ。セイノーホールディングスは、インド国内における貨物量の増加を見込み、2024年5月にインドの有力財閥マヒンドラ・グループと合弁会社を設立した。インド側パートナーが大手自動車メーカーを傘下に持つことから、自動車分野の物流に強みを発揮したい考えだ。上組は2025年2月、100%出資の上組インディアの設立を発表し、国際複合一貫輸送やASEANに展開する関連会社との連携により、高いサービスを提供するとしている。
インド南部タミル・ナドゥ州では、2025年2月に富士物流が本格的に活動を開始した。NIPPON EXPRESSホールディングス傘下のNXロジスティクスインドは、同年1月にアンドラ・プラデシュ州のスリシティ工業団地に面積2万1,000平方メートルの最新鋭物流倉庫を開設し、事業を拡張している。ジェトロ・チェンナイ事務所にも、物流業界関係者の来訪や問い合わせが増加している。
いずれの企業も、インドの経済成長に伴う国内需要の増加とそれに伴う商流の拡大を目指している。一方で、サービスよりも価格重視の荷主の考えや、競合企業が多いことなどが課題として挙げられている。小口配送やジャスト・イン・タイムの納品などが不十分といわれるインドの物流業界で、日本企業のきめ細やかかつ品質の高いサービスを荷主に理解してもらうことが今後のビジネス拡大のカギとなっている。
(白石薫)
(インド、日本)
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