米主要港、1月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比4.4%増、トランプ関税巡る不透明感で輸入増続く

(米国)

ニューヨーク発

2025年03月13日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(3月10日)によると、2025年1月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は、2月時点の予想を上回り、前月比4.4%増、前年同月比13.4%増の222万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。

米国の主要港では、ドナルド・トランプ大統領が発動したメキシコ、カナダ、中国に対する追加関税(2025年3月4日記事参照)を機に、貨物の輸入量は少なくとも2025年春まで高水準で推移し続けることが予想される。今後2月は通常、アジア各国での旧正月による工場の操業停止時期があるため貨物量が年間で最も低迷する時期だが、2025年は前年同月比6.1%増の207万TEUと、過去3年間で最も高い水準になる見通しとしている。その後、3月は10.8%増の214万TEU、4月は5.7%増の213万TEU、5月は2.8%増の214万TEUと、2024年より高めの水準で推移すると見込まれている。しかし、それ以降は、関税の影響などにより、6月は前年同月比3.2%減の207万TEU、7月は13.9%減の199万TEUとなり、前月比でも減少すると見込まれている。

NRFのサプライチェーン・税関担当副会長のジョナサン・ゴールド氏は「カナダとメキシコに対する断続的な関税は、(米国とそれら2カ国間で取引する)商品の大半がトラックや鉄道で移動するため、港湾の貨物量に直接的な影響を与えることはない」とした上で、「中国からの輸入品に対する新たな関税は既に10%から20%に倍増しており、4月から開始する可能性のある相互関税を巡る不確実性も懸念される。小売業者はサプライチェーンの多様化に取り組んでいるが、一夜にして実現するものではない」と指摘した。

また、ハケット・アソシエイツ創設者のベン・ハケット氏は、米国通商代表部(USTR)が検討している、中国で建造された船舶が米国の港湾に入港する際に課される追加料金(2025年2月25日記事参照)の措置が発動すれば、全ての貿易相手国からの輸入品にも影響が及ぶ可能性があるとの懸念を示した。同氏は、「世界のコンテナ船の大部分が中国で建造されていることを考えると、これはさらなるコストが荷主を通り越し、最終的に消費者へ転嫁されることを意味する」とし、輸送業者はより大型の船舶を利用し、小規模な港に何度も寄港するより主要港に寄港をまとめがちになるだろう、と述べた。「港湾は2024年第4四半期の輸入量の急増に大きな問題なく対応したが、(中国建造船に対する)この新たな措置はサプライチェーンにさらなる圧力をかけると同時に、米国内の小規模な港にも打撃を与えるだろう」と警告した。

(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。

(樫葉さくら)

(米国)

ビジネス短信 9ee8956d23916a7a