反外国制裁法の実施規定を発表、措置の明確化など定める

(中国)

北京発

2025年03月25日

外国からの制裁に対する中国の対抗措置を定めた「反外国制裁法」の実施規定(国務院令第803号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が3月21日、国務院第55回常務委員会で可決され、成立した(公布日は3月24日)。同規定は公布と同時に施行された。反外国制裁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2021年6月10日から施行されている(2021年6月14日記事参照、反外国制裁法の概要についてはジェトロの調査レポート「反外国制裁法の概要」PDFファイル(573KB)を参照)。

新華社の解説によると、同規定は反外国制裁法に関し、主に措置の明確化や、執行の強化を定めたものとしている。

措置の明確化としては、反外国制裁法第6条第2項の差し押さえ、拘束、凍結される「その他の種類の財産」には、現金、手形、銀行預金、有価証券、ファンドへの出資持ち分、株式、知的財産権、売掛金などの財産および財産権を含むと定めた(同規定第7条)。また、同法第6条第3項の禁止または制限される「関連する取引、協力などの活動」では、教育、科学技術、法律サービス、環境保護、ビジネス活動・貿易、文化、旅行、健康・衛生、スポーツの分野での活動を含むが、これらに限らないとした(同規定第8条)。同法第6条第4項の「その他の必要な措置」では、中国に関連する輸出入活動、中国への投資、関連品目の輸出、データ・個人情報の提供、中国における労働許可・居留の資格などに関する禁止や制限、罰金の賦課を含むが、これらに限らないとした(同規定第9条)。

措置に関する決定の明確化としては、国務院の関連部門が対抗措置の実施過程で、対応する調査や外国との協議を行う権利を有すると定めた。また、対抗措置の決定に当たっては、対抗措置が適用される対象、具体的な措置内容、実施日を明記するべきとし、措置の決定は国務院の関連部門などの公式サイトなどを通じて公表し、適時更新すると定めた。

措置の実施強化としては、法にのっとった措置を履行しない場合、国務院の関係部門はその者に是正を命じる権利を有するほか、政府調達や入札、関連する商品や技術の輸出入、サービス取引に従事することを禁止・制限する権利、データ・個人情報の越境移転と受け入れを禁止・制限する権利、中国からの出国や中国での滞在を禁止・制限する権利を有すると定めた。措置が講じられた組織や個人は行動を是正し、その影響が排除されたことを前提に、措置の停止、変更、または取り消しを申請することができるとした。

(亀山達也)

(中国)

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