ポルトガルのモンテネグロ政権、信任決議案の否決で5月に解散・総選挙へ

(ポルトガル)

マドリード発

2025年03月19日

ポルトガルのマルセロ・レベロ・デ・ソウザ大統領は3月14日、議会(一院制230議席)の解散・総選挙を5月18日に実施すると発表した。3月11日に議会がルイス・モンテネグロ首相(中道右派)の信任決議案を否決したことを受けたもの。

同首相は、家族が所有するコンサルタント企業について、議会審議中の土地法改正による恩恵や、公営賭博の運営委託先のカジノ運営企業が顧客の1社であるなど、複数の利益相反疑惑が2月に新聞で報じられた。これに対し、極右シェーガ党や左派野党が個別に不信任動議を提出しようとする動きがみられるなど、議会が紛糾した。3月5日に急進左派・統一民主連合(CDU)内の共産党(PCP)による不信任動議が否決されたものの、直後にモンテネグロ首相は自身の信任動議を提出すると発表した。

同首相は信任投票によって、疑惑に関する議会の調査委員会設置や相次ぐ非難と追及を避けようとしたが、最大野党の中道左派・社会党(PS)とシェーガ党が信任動議に反対票を投じる意向を発表し、議会解散が確実視されていた。11日に行われた信任決議では、与党の中道右派・社会民主党(PSD)と民衆党(CDS)、リベラル・イニシアチブ党の右派3党の賛成票88に対し、PSをはじめとする左派5政党とシェーガ党による反対票が142となり、議会解散が決定した。

今回の政権崩壊により、ポルトガルではこの3年余りで3度目の総選挙が行われることとなる(2024年3月15日記事2022年2月7日記事参照)。調査会社Consulmark2が信任否決直後に行った世論調査の結果によると、モンテネグロ政権に対する批判はそれほど大きくないようだ。投票意思では、モンテネグロ前首相のPSDを中心とする右派選挙連合民主同盟(AD)が32.1%でリードしており、続いて社会党(28%)となっている。首相候補もモンテネグロ氏の41.9%に対し、社会党党首は27.4%、第3党のシェーガ党首はわずか11.6%だった。

また、議会討論の主流となっている治安悪化と移民政策は、同世論調査では懸念事項の最下位となっている。ポルトガル国民の最大の関心事は依然として健康、住宅、教育問題だ。

(小野恵美)

(ポルトガル)

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