米環境保護庁、大規模な環境規制の見直し着手
(米国)
ニューヨーク発
2025年03月14日
米国環境保護庁(EPA)は3月12日、31項目にわたる各種環境規制の見直しに着手することを発表した。EPAは発表に際し、「環境保護という中核的な使命を果たすとともに、米国のエネルギーを解放し、米国人の生活費を下げ、米国の自動車産業を活性化し、法の支配を回復し、各州に独自の決定を出す権限を取り戻すというドナルド・トランプ大統領の約束を果たすことに尽力」していると述べた。
見直しの対象として具体的に挙げているのは次の項目だ。これらの見直しに対しては、石炭火力発電の業界団体アメリカズパワーが声明で「石炭火力発電所の廃止のほとんどは、電力不足のリスクに直面する国内の地域で発生している。EPA規則の再検討は重要なステップで、私たちはトランプ政権が石炭火力発電所の廃止を防ぎ、電力消費者を保護するためのほかの措置を講じる際に協力することを楽しみにしている」として、歓迎するコメントを発している。一方で、環境保護団体エバーグリーン・アクションは声明で「バイデン前政権は、汚染された石炭・ガス発電所に史上初の炭素排出制限を設け、有毒な大気汚染を削減し、人命を救い、2,700億ドルの気候被害を回避した。これらの保護策の撤回は、何十年もの間、汚染された工場からの有毒な空気を吸わざるを得なかった地域社会に対する直接的な攻撃だ」と激しく批判した。
(1)米国のエネルギーを解放
- 発電所に関する規制の見直し(クリーンパワープラン2.0)
- 石油・ガス産業を抑制している規制の見直し(OOOOb/c)
- 水銀および大気毒性物質基準の見直し(MATS)
- 義務的な温室効果ガス(GHG)報告プログラムの再検討((GHG報告プログラム)
- 水資源を保護しながら低コストの電力を確保するための蒸気発電産業の制限、ガイドライン、基準(ELG)の再検討
- 石炭火力発電所の廃水規制の再検討
- 米国の石油・天然ガス精製所、化学施設を制限したリスク管理プログラム規則の再検討
(2)米国の家庭の生活費削減
- 小型、中型、大型車両に対するGHG規則の再検討
- 2009年の危険因子判定と、その判定に基づく規制、措置の再検討
- ハイドロフルオロカーボン(HFC)の使用を減らすための「技術移行規則」の再検討
- 粒子状物質国家大気環境基準の再検討
- 有害大気汚染物質国家排出基準(NESHAP)の再検討
- 国立公園や自然保護区の大気環境を改善するための地域もや対策プログラムの再構築
- 「炭素の社会的コスト」の見直し
- 官僚的負担から経済を解放するというEPAの主要ミッションに執行リソースを向け直す
- 環境正義、多様性、公平性、包摂性部門の廃止
(3)協力的連邦主義の推進
- 風下の州の大気汚染を削減することを目的とした「善隣計画」の終了
- 州および部族の実施計画の膨大な未処理事項を解決するため州・部族との協力
- 州および部族の実施計画(例外的事象)の中で、火入れの許容度を緩和するための例外的事象に関する規則制定の再検討
- 科学諮問委員会とクリーンエア科学諮問委員会(SAB/CASAC)の再編成
- 石炭灰規制(CCRルール)の更新
- ノースカロライナ州のハリケーン・ヘレンからの復興促進
(加藤翔一)
(米国)
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