2025年GDP成長率目標を8%に引き上げ、達成に向け公共投資を加速
(ベトナム)
ハノイ発
2025年03月14日
ベトナム国会は2月19日、第15期(2021~2026年期)第9回臨時国会で2025年の社会・経済計画の補足(修正)議案を可決し、2024年11月に設定したGDP成長率の目標6.5~7.0%(2024年11月19日記事参照)を8.0%以上に引き上げた。公共投資の執行計画も、310億ドルから360億ドル相当に増額した。併せて、経済成長などに伴う物価上昇も想定し、消費者物価指数(CPI)上昇率の目標を約4.5%から約4.5~5.0%に変更した。
今回のGDP成長率目標の変更は、2024年の成長率(7.09%)を1ポイント近く上回る設定となるが、ベトナム政府は2025年に8%、2026~2030年に10%を超える成長を目指す方針を示しており、国会も政府と歩調を合わせたかたちだ。2045年までの高所得国入りを実現させるため、経済成長を一段と加速させる考えだ。
2025年に8%成長を達成した場合、ベトナムの名目GDPは5,000億ドル、1人当たりGDPは5,000ドルを超えることが見込まれる。
同決議では、2025年のGDP成長率の目標達成に向けて、政府や関連機関に対し、法整備の強化、監督・管理方法の効率化、重要なインフラ投資を含む公共投資の迅速な執行、行政手続きの改善やビジネス環境の改善、イノベーション推進などの取り組みを求めた。
公共投資の執行額として設定された360億ドルは、2024年比で40%の増額となる。地場金融機関ビナキャピタルによると、公共投資が目標どおりに執行されれば、GDP成長率を2ポイント押し上げ、8%の目標達成に貢献すると分析する(2月28日ダウトゥ紙)。
ビナキャピタルは、2025年の公共投資の大部分は、電力と交通インフラの整備に充てられると予測しており、仮に米国向けの輸出が鈍化した場合にその影響を相殺する効果も期待される(3月7日VNエコノミー)。これらのインフラ開発の進展が、さらなる外国企業の投資誘致や中期的な経済成長を支える上でも、重要になりそうだ。
電力インフラの開発にあたっては、その指針である「第8次国家電力開発基本計画(PDP8)」(2023年5月30日記事参照)の改定版が2025年3月に公開予定とされる。交通インフラでは、南北高速道路や南部のロンタイン国際空港などの主要プロジェクトについて、2025年内の完成を急ぐ。また、政府は、中国国境近くのラオカイ~首都ハノイ~港湾都市ハイフォン間を結ぶ鉄道や南北高速鉄道などについても、早期着工に向けた具体的な計画策定を急ぐよう、担当省庁や地方省への指示を強めている。
(グエン・ラン、萩原遼太朗)
(ベトナム)
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