ジェトロ、浜松でインド南部のオープンイノベーションセミナー開催
(浜松、インド)
浜松発
2025年03月05日
ジェトロは2月17日、インド南部のオープンイノベーションセミナーを静岡県浜松市で開催した。静岡県や浜松市が2024年12月にインド南部テランガナ州ハイデラバードなどに訪問団を派遣し、経済交流を加速させる機運が高まっていることから、インド企業との連携に関心を持つ県内企業が増えている(2024年12月26日記事参照)。
セミナーでは、ジェトロ・チェンナイ事務所の白石薫所長が登壇したほか、南部タミル・ナドゥ(TN)州政府機関、アクセラレーター1社、スタートアップ企業2社がオンラインで登壇し、スタートアップの支援状況ついて説明した。本セミナーには、県内の製造業をはじめとした事業者やスタートアップのほか、自治体関係者ら30人以上が参加した。
セミナー会場の様子(ジェトロ撮影)
白石所長は、TN州はインドの州別経済規模が第2位で、実質成長率も新型コロナ禍後、順調に成長していると経済概況を説明した。また、同州が製造業の集積地で、理工系大学で学ぶ生徒数が国内最大であることから、製造分野に関連したスタートアップが増加していることを紹介した。州政府機関スタートアップTN(Startup TN)のマゲシュワル・R氏は、同機関のスタートアップ支援策を紹介。セミナーや商談、投資の呼び込みを目的としたピッチコンテストなど、レベルに合わせた様々なプログラムを用意していると、同州のスタートアップ支援の手厚さを強調した。
製造業に特化したアクセラレーター、フォージ(Forge)のビッシュ・サハスラナマム最高経営責任者(CEO)は、製造業において持続可能なビジネス確立を目指すためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)と技術革新が必要不可欠であることを強調。インドのスタートアップが持つ新興技術に目を向ける意義を示した。同社は、スタートアップ企業への投資や技術連携を望むインド国内外企業に対し、課題の洗い出しや戦略の策定、適切なスタートアップの紹介など、包括的な支援を提供している。日本企業に対しても、インドのスタートアップの紹介や連携支援を実施していることを説明し、インドでオープンイノベーションを目指す日本企業にとって具体的な相談先であることを強調した。最後に、同社が支援しているスタートアップ2社、高温用プレセラミックポリマーを開発するセラタトバ(Ceratattva)のアブハ・バルティ共同創業者と、先端複合材料を使用した繊維用の3Dプリンティング機を開発するファブヘッズ・オートメーション(Fabheads Automation)のデネッシュ・カナガラジCEOによるピッチも行われ、インドのスタートアップが高い技術力を持つことが紹介された。
セミナーの参加者からは、「インドのスタートアップの層の厚さを知ることができた」「インド企業とのマッチングの場が欲しい」などの声が寄せられ、インドのスタートアップが持つ潜在能力、さらにはスタートアップとの協業や連携に向けた期待が示された。
(杉山希実)
(浜松、インド)
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