ジェトロ、クリーンテック分野の起業家を欧州3カ国に派遣、グローバルでの起業を目指す
(オランダ、フランス、ベルギー)
イノベーション部スタートアップ課
2025年03月27日
ジェトロは2月16日から3月9日にかけて、学生などを対象とした「J-StarX 欧州イノベーターコース(CleanTech・学生)」の採択者20人を、オランダ、フランス、ベルギーの3カ国に派遣した。
このコースは、EIT Climate-KIC(現Climate KIC)(注)と連携し、先進的に取り組む欧州でのクリーンテック分野の知見を習得しつつ、起業に向けたマインドセットを醸成することを目的としている。
参加者集合写真(ジェトロ撮影)
EIT Climate-KICは、欧州を代表する気候イノベーション組織で、気候変動対策とサステナブルなビジネスの推進を目的としたアクセラレーションプログラムも提供している。
訪問先のそれぞれの都市は、クリーンテック分野において異なる強みを持つ。アムステルダムはスマートシティ技術と持続可能な都市計画、ロッテルダムはサーキュラーエコノミー、パリはクリーンテックスタートアップやイノベーションハブが集積する。また、EUの規制は同分野を世界的にリードするが、EUの各機関はブリュッセルに本拠を持つ。
ロッテルダムでは、インキュベーション施設「BlueCity」を訪問。施設内にはラボも併設されており、企業が実験やプロトタイピングを行いながら、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを推進できる環境が整っている。参加者からは「サーキュラーエコノミーに特化し、ラボが併設された施設は日本にはなく貴重だ」との声が上がった。
BlueCity訪問(ジェトロ撮影)
パリでは、「Climate Fresk」のワークショップに参加。気候変動のプロセスを整理し、持続可能な社会へのアクションを考えた。参加者からは、「気候変動を体系的に捉えることで、自分のビジネスが解決する問題を理解できた」という声が出た。
ブリュッセルでは、クリーンテック関連規制をリードする欧州議会や欧州委員会を訪問した。
Climate Fresk訪問(ジェトロ撮影)
プログラムの最終週には、EIT Climate-KICのアナリストを含む審査員の前でピッチと質疑応答が行われ、参加者からは「審査員から有益なアドバイスを得られた」「ピッチを実践的に学ぶことができた」との声が聞かれた。
派遣プログラム終了後、参加者からは「ビジネスアイデアをさらに磨きたい」「起業に向けて準備を進めたい」といった意欲的なコメントが寄せられた。帰国後の3月10日からは個別フォローアップ・セッションを実施し、引き続き起業支援を行っている。
(注)EITは、EUのイノベーションを促進する機関である欧州イノベーション・技術機構。同機構は、気候変動、医療、再生可能エネルギーなどのグローバルな課題に取り組むための「知識・イノベーションコミュニティ(KIC)」というパートナーシップを各分野で立ち上げている。Climate-KICはその1つで、気候変動分野に対応するもの。2010年に立ち上げられたが、EITの支援期間は15年とされているため、2025年2月にEITから独立してClimate-KICに改組した。
(鈴木七海)
(オランダ、フランス、ベルギー)
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