米テキサス州エルパソ地域、共英製鋼の投資に期待高まる

(米国)

ヒューストン発

2025年03月04日

米国テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は2月20日、同州エルパソ郡のビントン・スチールを同州の優遇策「Jobs, Energy, Technology and Innovation(JETI)」プログラムの対象にすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。JETIのほかに、Texas Enterprise Fund(TEF)(注1)の助成150万4,000ドルと、退役軍人雇用に対する助成として1万2,000ドルも受ける。この発表はテキサス州エルパソ郡にある同社の本社で行われ、アボット知事や北田正宏会長らが参加。ほかにも、テキサス州政府幹部、エルパソ郡長官やビントン村長、メキシコ国境経済開発公社の最高幹部、同社従業員らが出席し、同社の投資に対する謝辞や、地域の経済的発展への期待を述べた。

ビントン・スチールは共英製鋼(本社:大阪市北区)の子会社で、設備老朽化の対応と設備能力増強のため、製鋼工場の新設と既存の圧延工場設備の一部改造を計画していた(2024年7月23日記事参照)。2025年1月末、圧延工程の生産性をより高めるため、設備の一部改造から大幅な改造へと方針を変更し、投資の総額は約2億5,500万ドルとなり、180人の新規雇用を見込んでいる。2025年7月に着工し、2027年1月の稼働を予定している。

2024年1月にテキサス州で発効したJETIプログラムは、製造、発電、資源開発、研究開発、ハイテク・インフラなどの分野における施設建設プロジェクト(注2)に対し、投資額や見込まれる雇用数によって、学区管理・運営税の評価額を10年間、50%に限定する。特区に所在する場合は、さらに追加で25%の限定措置を受けられる。JETIの助成を受けるのは、ビントン・スチールが4社目。2024年12月にベル・テキストロン(本社:フォートワース)の航空機製造拠点への4億2,900万ドル以上の投資に対するJETIの助成と、TEF助成267万1,500ドルが発表された。2社目は、2025年1月に、サミット・ネクスト・ジェン(本社:アイオワ州アルデン)への助成が決定。同社は16億ドルを投じてハリス郡とテキサス州の湾岸沿いに航空機向け燃料の製造・精製拠点を建設する。3社目として、2025年2月に、ブレイブン・エンバイロメンタル(本社:ニューヨーク州タリータウン)が1億4,500万ドルを投じて同州テクサーカナにプラスチックリサイクル施設を建設する計画に対し、JETI助成を発表した。

(注1)テキサス州への新規進出プロジェクトで、同州内の施設が州外の施設と競合している場合、ディール・クロージング・ファンド(deal-closing fund)として助成される基金。大きな雇用創出と資本投資が見込まれることと、投資先の拠点が未決定であることが条件。助成額は実績に基づいて決定される。

(注2)再生可能エネルギーやエネルギー保管施設は対象外。

(キリアン知佳)

(米国)

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