欧州委、対ロシア制裁など念頭に、域内中小企業向け制裁ヘルプデスク設置

(EU)

ブリュッセル発

2025年03月28日

欧州委員会は3月25日、域内の中小企業向けに制裁ヘルプデスクを開設したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。制裁措置の違反は罰則を伴うことから、制裁措置順守は重要だ。一方で、EUは現在、対ロシア制裁(2025年2月26日記事参照)など、全世界で40以上の制裁措置を発動しており、制裁措置への対応は容易ではない。特に中小企業にとって、制裁違反リスクを特定し、対処する制裁デューディリジェンスを実施する負担は大きい。そこで、欧州委は複雑な制裁措置に対応する中小企業を支援すべく、ワン・ストップ・ショップとなる制裁ヘルプデスクを立ち上げた。

ヘルプデスクの対象は主に、従業員数が250人未満、売上高が最大5,000万ユーロ、貸借対照表上の総資産が最大4,300万ユーロの中小企業だ。ヘルプデスクは、EUやEU加盟国が実施する制裁措置に関する一般的な情報を提供するだけでなく、企業ごとのニーズに対応したデューディリジェンスの実施支援を無償で提供する。

制裁措置を順守するには、自社の取引などに対するデューディリジェンスを実施する必要がある。デューディリジェンスを実施するに当たっては、取引相手や取引する商品、商品の原産国や出荷先、取引目的などに関する情報を収集し、制裁措置に違反するリスクがないかを確認することが求められる。

ヘルプデスクはこうしたデューディリジェンスの実施を支援すべく、制裁措置に関する個別の質問に回答するほか、法的な効力は有しないものの、必要に応じてデューディリジェンスにおけるリスク評価も請け負う。簡易な依頼ならば5営業日以内に、対ロシアなどの複雑な制裁措置に関する依頼ならば10営業日以内に対応するとしている。

ヘルプデスクの詳細は欧州委員会のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照のこと。

(吉沼啓介)

(EU)

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