トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領、重要鉱物協定に署名できず

(米国、ウクライナ、ロシア)

ニューヨーク発

2025年03月03日

米国のドナルド・トランプ大統領は2月28日、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。両首脳は同日中に共同記者会見を開き、米国にウクライナの重要な鉱物資源へのアクセスを認める協定に署名する予定だったが、記者会見はキャンセルされ、協定も締結されなかった。

会談は、トランプ大統領がウクライナ軍の勇敢さを称賛するなど、友好的な雰囲気で始まったが、ゼレンスキー大統領が、戦争を終わらせるためにロシアのウラジーミル・プーチン大統領と外交的解決策を見いだすようJ.D.バンス副大統領に強く求めたことで、険悪な雰囲気となった(議会専門紙「ザ・ヒル」2月28日)。トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領との会談の前に、フランスのエマニュエル・マクロン大統領(2025年2月26日記事参照)、英国のキア・スターマー首相と立て続けに首脳会談を行い(2025年3月3日記事参照)、ウクライナの戦争終結や欧州の安全保障などについて協議していたが、ゼレンスキー大統領との会談は物別れに終わった。

トランプ政権は同日、ゼレンスキー大統領との会談での、トランプ大統領とバンス副大統領の主要な発言などをまとめた「トランプ大統領とバンス副大統領は、米国民のために立ち上がっている」と題する声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。声明では、ウクライナの国民が平和と引き換えに一部の領土を割譲する用意があるべきと考えていること、ウクライナの兵士が疲弊していること、ゼレンスキー大統領が米国の2024年の大統領選挙期間中、ペンシルベニア州でトランプ大統領に反対する選挙運動を行ったこと、などを記した。

(赤平大寿)

(米国、ウクライナ、ロシア)

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