アラムコ、サウジアラビア初のCO2直接空気回収試験施設を始動

(サウジアラビア)

リヤド発

2025年03月27日

サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ(以下、アラムコ)は3月20日、年間12トンの二酸化炭素(CO2)を大気から除去できる、サウジアラビア初のCO2直接空気回収(DAC)(注1)の試験施設をシーメンス・エナジーと共同で稼働させたことを発表した。サウジアラビアの独特な気候における次世代の二酸化炭素回収の試験施設として使用し、近隣国でのDAC技術の展開を加速させるためのコスト削減も目指す考えだ。

アラムコの技術監督・調整担当アリ・アル・メシャリ上席副社長は「大気中の二酸化炭素を直接回収するDAC技術は、特に排出削減が困難なセクターにおいて、温室効果ガス排出削減に重要な役割を果たすだろう」と述べた。また、アラムコが始動した試験施設は、サウジアラビアにとどまらず国外での展開するために、重要な一歩となる。さらに、回収により抽出された二酸化炭素は排出ガス対策対応に加え、より持続可能な化学物質や燃料の生産に利用することができることにも言及した。

このプロジェクトは、同社が二酸化炭素回収に重点を置いていることを示すもので、2025年までに完全所有の操業資産全体でスコープ1(注2)とスコープ2(注3)の温室効果ガス排出量をネットゼロにする野心的な取り組みの重要な柱となっている。

(注1)大気から二酸化炭素を分離・回収する技術のこと。

(注2)燃料の燃焼や製品の製造などを通じて企業・組織が直接排出する温室効果ガス。

(注3)他社から供給された電気・熱・蒸気を使うことで間接的に排出される温室効果ガス。

(平田若菜)

(サウジアラビア)

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