中国外交部、日中ハイレベル経済対話での20項目の合意発表
(中国、日本、韓国)
北京発
2025年03月24日
中国の王毅・中国共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)は3月22日、東京で日中外相会談と第6回日中ハイレベル経済対話で、岩屋毅外相と会談した。
中国外交部によると、王外相は外相会談で、中国と日本は互いに重要な隣国であり、両国関係は2国間というカテゴリーにとどまらないとした上で、不透明な国際情勢に直面する中、歴史と未来を直視し、信頼を高め、両国関係の正しい方向性を維持するとともに、各分野での協力を深め、両国とアジアの平和と繁栄に貢献するため、双方は両国首脳の重要な合意を推進していくべきだと述べた。また、王外相は歴史的問題と台湾問題については、「四つの政治文書」(注1)の厳格な履行を求めるとし、両国関係の政治的基盤を守ることが特に重要と強調した。
第6回日中ハイレベル経済対話は2019年4月以来、約6年ぶりの開催となった。両国外相のほか、双方政府部門の責任者が出席した(注2)。中国外交部によると、王外相はこれまでの2国間の経済関係の発展に触れつつ、中国と日本はライバルではなくパートナーで、互いに支え合い切り離すことのできない関係とした。
また、各部門はマクロ政策、経済・貿易・投資、デジタル経済、グリーン、生態環境保護、人的交流、地域協力などについて綿密な意思疎通を図り、20項目に合意したとした(添付資料表参照)。その中では、日本産水産物の中国への輸出に係る問題について、双方は2024年9月20日に発表した共通認識(2024年9月20日記事参照)を完全かつ正確に全面的に理解し、長期的な国際モニタリングと中国側の独自サンプリング・モニタリングを継続的に展開することを確認し、結果に異常がないことを前提に、日本産水産物の中国への輸出について関連する協議を進めるとしている。また、ビジネス環境の改善に向け、中国側政府は中国日本商会との対話を開催するとした。
日中韓外相会議、未来志向の協力へ人的交流強化
日中ハイレベル経済対話と同じ22日、第11回日中韓外相会議が開催された。3国間の協力体制の強化のほか、人的交流の拡大を示した。中国外交部の発表では、新たな協力分野を開拓し、未来志向の協力を拡大するため、引き続き人的交流を深めることで相互理解と相互信頼を強化し、さまざまな分野での3国間の実務協力を充実させ、各国・地域の人々により多くの恩恵をもたらす新たな成果の獲得を推進するとした。
(注1)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指すとされる。
(注2)日本側は内閣府、外務省、経済産業省、国土交通省、財務省、農林水産省、環境省、厚生労働省、中国側は国家発展改革委員会、外交部、財政部、生態環境部、商務部、海関総署(中国税関)、工業情報化部がそれぞれ出席した。
(亀山達也)
(中国、日本、韓国)
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