ジェトロ、水産品輸出商談会を大阪で開催
(日本、米国、カナダ、英国、ポーランド、ベトナム、タイ、インド、フィリピン、オーストラリア)
農林水産食品部商流構築課
2025年03月05日
ジェトロは、2月19~20日に開催された「第22回シーフードショー大阪」(主催:大日本水産会)の会期に合わせて、事前マッチング式の水産品輸出商談会を初めて開催した。本商談会は、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水に関連して、中国など特定国による水産物などの輸入停止措置によって大きな影響を受けた日本産水産物の輸出先の多角化を図ることを目的として実施したもので、「第22回シーフードショー大阪」出展者をはじめ、全国24都道府県の日本産水産品および日本産水産加工品の輸出に意欲のある事業者など46社が参加。ジェトロが大阪に招聘(しょうへい)した海外バイヤー
(0.0B)9カ国10社(米国、カナダ、英国、ポーランド、ベトナム、タイ、インド、フィリピン、オーストラリア)と2日間で延べ90件の商談が行われた。
商談に参加した日本の事業者からは、「まだ輸出ができていない国のバイヤーと商談し、特にフィリピンは熱帯で暑いことからサーモンやハマチなどの脂が多く乗った魚が好まれるといった情報やニーズを知ることができ、新たな販路開拓につながる貴重な機会だった」といったコメントがあった。
商談の様子(ジェトロ撮影)
商談会の前後には視察プログラムを実施。大阪、和歌山、鹿児島の水産関連企業を訪問し、生産現場や製造工程を視察した。
地方の水産関連企業を訪問し、養殖場や加工場を視察(いずれもジェトロ撮影)
海外バイヤーは、主にホタテ、ウニ、ブリ、ハマチなどの調達に興味を持っていたが、同時に「まだ自国の市場では見たことのない、ユニークな商品」への関心が高かった。特に、カナダのバイヤーはカニの甲羅に関心を持ち、「甲羅を使用した料理は珍しく、非常に興味深い。日本の居酒屋で提供されているメニューを、加工品として商品開発してみてはどうか」と商談相手に提案していた。また、地方の特産である水産品に興味を示すバイヤーも多く、鹿児島における視察では月日貝(ツキヒガイ)が注目を浴びて、旬の時期や調理方法など多くの質問が投げかけられていた。
今回のプログラムを機に、新たな販路、商品の引き合いが多く生じたことで、日本産水産物の輸出先の多角化が一層進展することが期待される。また今後のヒントとして、英国バイヤーから「現地の高級レストランは、珍しくて独自性のある商品の調達を強く希望している。特に、シェフが客の前で素材の説明ができるような、特別なストーリー性のある商品が理想的だ」という話があった。商品自体の味、品質ももちろんだが、商品の背景にある自然環境や歴史、文化をはじめとした産地の特徴、創意工夫などといった唯一無二の部分をアピールし、他国産の商品との差別化を図ることが重要だ。
(小笹紘大)
(日本、米国、カナダ、英国、ポーランド、ベトナム、タイ、インド、フィリピン、オーストラリア)
ビジネス短信 189deb0c54158e04