アルプスアルパインのグループ会社が車載用モジュール生産拡大の投資へ
(ハンガリー、日本)
ブダペスト発
2025年03月04日
ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は2月27日、日系電子機器メーカー、アルプスアルパイン(本社:東京都大田区)のハンガリーの製造拠点であるアルパイン・エレクトロニクス・マニュファクチャリング・オブ・ヨーロッパが、ブダペスト郊外のビアトルバージ工場の車載用モジュールの生産能力拡大に210億フォリント(約82億円、1フォリント=約0.39円、2月28日ハンガリー国立銀行為替レート)を投資する計画だと発表した(プレスリリース、ハンガリー語)。
同相は、今回の投資に対して、ハンガリー政府が30億フォリントの補助金を交付すること、さらに、今回の投資が100人以上の雇用を生み出すことを強調するとともに、輸出の拡大と再生可能エネルギーの利用拡大を促進していると称賛した。
アルパイン・エレクトロニクス・マニュファクチャリング・オブ・ヨーロッパの薗部克則社長は、ジェトロのインタビューに対して「電気自動車(EV)の普及も相まって、新車が発表されるたびに車載用モジュールも変化を遂げており、まさしく端境期と言える。当社の場合、モビリティ事業におけるインフォテインメント(注1)が進展する中で新たな製品ニーズが生まれている。これに対応すべく、新たなラインを立ち上げて車載用モジュールの製造に取り組んでいる」とコメントした。また、「ハンガリー政府は、労働力が不足する中、人工知能(AI)やデジタルトランスフォーメーション(DX)などを活用した自動化による生産能力の拡大を推進しており、そういった企業の動きを支援してくれるのはありがたい」と、同政府の産業政策を評価した。
現地メディア「デモクラタ」(2月27日付)によると、同相は、自動車産業と電子機器産業はますます密接につながっており、欧州自動車産業の主要国の1つであるハンガリーにとって、本件のような投資は極めて重要であると述べた。また過去10年間で、ハンガリーでは総額9兆フォリントにのぼる、172件の電子機器関連の大型投資が行われたと強調した。
さらに同相は、現在200社超(注2)の日系企業がハンガリーで約3万人の雇用を創出しており、今回の投資によって、ハンガリーと日本の関係はさらに強まるだろうとコメントした。なお、同相によると、ハンガリー政府は過去10年間で、日系企業による72件の大規模なプロジェクト(投資総額:約6,500億フォリント)を支援している。
(注1)「インフォメーション(情報)」と「エンターテインメント(娯楽)」を合わせた言葉。自動車のインフォテインメントシステムは、運転中に必要な情報を提供しつつ、同時にエンターテインメント機能も備えるもので、ナビゲーションや音楽再生などが含まれる。
(注2)日本外務省の「海外進出日系企業拠点数調査」によると、ハンガリーにおける進出日系企業の拠点数は2023年10月時点で180社。
(本島志泰、宮内安成)
(ハンガリー、日本)
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