ジェトロ、在中国日系企業の報酬動向などに関するセミナー開催

(中国)

青島発

2025年03月03日

ジェトロは2月14日、中国の青島日本人会・商工会と共催で、コチ コンサルティング(上海)の畑伴子総経理を講師に、「2025年度の報酬動向考察と事業環境変化への対応」と題したセミナーを開催した。約50人の進出日系企業関係者が参加した。コチ コンサルティング(上海)では2024年10月から、在中国日系企業に対し、労務管理や福利厚生、報酬賃金に関する調査を実施し、今回のセミナーではその結果(注1)も報告した。

セミナーでは、平均昇給率(ベースアップや評価昇給)は年々下降傾向にあり、2024年の実績は製造業で前年比0.6ポイント減の4.7%、非製造業で同0.8ポイント減の4.7%だったと紹介した。2025年はさらに下がる見込みで、製造業が4.2%、非製造業が4.3%になるとした。ベースアップのみの平均昇給率については、2024年の実績は製造業で前年比0.3%上昇の3.2%、非製造業で1.3%上昇の3.5%、2025年の見込みは製造業3.0%、非製造業3.3%だった。2024年に昇給を凍結した企業数の比率は製造業10.9%、非製造業10.4%だった。畑総経理は、日系企業の昇給は評価昇給よりベースアップに重点が置かれていると述べた。また、中国の民営企業や欧米企業では、経営層や管理層などの階層が上がるにつれて、報酬に占める評価昇給などの割合が増えていく傾向にあるが、日系企業ではその傾向はあまり見られないとした。

法定退職年齢の段階的引き上げへの対応や、キャリアパスの描ける人事制度、次世代幹部の選抜・育成施策などについても紹介し、日系企業の課題として挙げられる高齢化・硬直化への対策の一例として、役職定年制(注2)、役職任期制(注3)の策定を挙げた。ベテラン役職者には、顧客関係や人脈の維持、知識・技術の伝承、管理の支援・アドバイスを行うなど、組織・後進社員の力になる新しい役割を与えるというキャリアシフトの重要性を指摘した。

(注1)2024年11月22日までに回収されたデータに基づく結果で、サンプル企業数は計360社。

(注2)一定年齢を迎えた管理職をラインから外し、専門職などで処遇する仕組み

(注3)役職を一定期間で改選(再任・昇降職)する前提で、就任年数を限定する仕組み

(赤澤陽平)

(中国)

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