アリババ、3年間で約8兆円をクラウド・AIインフラに投資

(中国)

上海発

2025年03月03日

中国のテクノロジー大手アリババグループは2月24日、今後3年間で総額3,800億元(約7兆9,800億円、1円=約21円)を投じ、クラウドコンピューティングと人工知能(AI)のインフラ構築に注力していくと発表した。

アリババグループは「この金額は当社が過去10年間に同分野に投資した総額を上回っており、中国の民間企業の中で最大規模のインフラ投資プロジェクトになる」と説明した。今回の投資では、AIとクラウドのインフラ整備、AIプラットフォームの構築、AIネーティブアプリケーションの活用、既存事業でのAI転換の後押しなどを行い、技術競争力のさらなる強化を図る。

同社の呉泳銘最高経営責任者(CEO)は「AIの成長は予想をはるかに超えている。中国のテクノロジー産業は発展の余地があり、大きな潜在力を秘めている」と強調した。クラウドとAIのインフラ整備を通じ、業界全体のエコシステムの発展を加速させる方針を示した。

同プロジェクトへの巨額投資は、中国のAIスタートアップ企業「ディープシーク」が開発した生成AIが世界で注目を浴び、中国国内でAI技術の開発が加速する中で発表された。アリババの投資は今後、AI技術電子商取引(EC)、企業向けサービス、消費者向けアプリケーションなど多くの分野で重要な役割を果たすと考えられ、中国のテクノロジー関連業界に大きな影響を与えるだろうと呉氏はコメントした。

米国の市場調査会社IDCと中国IT企業の浪潮情報が共同発表した「2025年中国人工知能コンピューティング発展評価レポート」によると、生成AIや大規模言語モデルなどの需要拡大により、中国のインテリジェントコンピューティング市場規模は急成長すると予測される。2024年の年間市場規模は190億ドル、2025年に259億ドル、2028年には552億ドルまで拡大する見込みだとした。

(龐婷婷)

(中国)

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