2024年の農林水産物・食品輸出額、初めて1兆5,000億円超え
(日本)
農林水産食品部市場開拓課
2025年02月10日
日本の農林水産省が2月4日に公表した「農林水産物輸出入情報」によると、財務省貿易統計に基づく2024年の農林水産物・食品輸出額(確報値)は前年比3.7%増の1兆5,073億円(少額貨物輸出額979億円を含む)となった。過去最高の輸出額を更新し、初めて1兆5,000億円を超えた。
輸出額上位3品目は、1位がアルコール飲料(1,337億円、前年比0.5%減)、2位はホタテ貝(生鮮・冷凍・冷蔵など、695億円、同0.9%増)、3位は牛肉(くず肉を含む、648億円、同12.1%増)だった。アルコール飲料については、日本酒は増加しているものの、ウイスキーは原酒不足やジャパニーズウイスキーの定義厳格化などが影響して、中国向けを中心に輸出額が減少した。ホタテ貝は、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水放出に伴う各国・地域の規制強化(注1)以降、輸出先について、上位を占めていた中国と香港からベトナムやタイなどへと入れ替わった。特にベトナムは前年の12.9倍と大幅に増加し、タイ(3.4倍)や、カナダ(2.3倍)も好調だ。牛肉については、米国向けを中心に、台湾や東南アジア、欧州などで輸出が伸びている。
輸出額上位3カ国・地域は、1位が米国(2,429億円、前年比17.8%増)、2位は香港(2,210億円、6.6%減)、3位は台湾(1,703億円、11.2%増)だった。2021年以降、最大の輸出先だった中国は4位(1,681億円、29.1%減)となり、20年ぶりに米国が首位となった。米国向けでは、アルコール飲料(11.6%増)、ブリ(6.0%減)、ホタテ貝(60.1%増)が上位3品目になった。また、緑茶(同2.4%増)やソース混合調味料(同14.2%増)の輸出も好調だ。米国でアルコール飲料が好調な要因として、長期化した日本酒の在庫調整が落ち着いたことや、外食需要が高まったことなどが挙げられる。香港向けでは、真珠(12.6%減)や、ホタテ貝(17.5%減)の輸出が減ったものの、アルコール飲料(9.2%増)の輸出が増加した。台湾向けの輸出では、リンゴ(41.0%増)の増加率が最大となった。日本政府は、2025年までに農林水産物・食品の年間輸出額を2兆円、2030年には5兆円に拡大する目標を掲げている(注2)。
(注1)ALPS処理水放出後に日本産水産物に対して輸入停止措置を講じた国・地域は、ロシア、中国、香港、マカオ。各国・地域ごとに規制対象となる品目や原産地が異なるため、詳細は農林水産省「ALPS処理水の海洋放出に伴い規制を強化した国・地域に関する情報」参照。
(注2)農林水産省「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の進捗」参照。
(根本遥)
(日本)
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