OECD外国公務員贈賄防止条約に関するワークショップ開催
(インドネシア)
ジャカルタ発
2025年02月26日
OECD(本部:フランス・パリ)は2月10~14日、国際商取引での外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約(OECD外国公務員贈賄防止条約)をテーマとしたワークショップをジャカルタ市内で開催した。同ワークショップは、2024年5月に立ち上げた「日本OECD・ASEANパートナーシップ・プログラム(JOAPP)」の一環として開催された。
OECD外国公務員贈賄防止条約は、インドネシアがOECDに加盟するに当たり、批准が必須とされている条約だ。ワークショップには正木靖・駐インドネシア日本大使のほか、アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相ら閣僚などが出席した。正木大使は開会あいさつで、石破茂首相が2月にインドネシアのOECD加盟に向けた支援について、プラボウォ・スビアント大統領に表明したと紹介しつつ、「日本はインドネシアのOECD加盟支援のために、800万ユーロを供出しており、インドネシア政府にOECD専門家を派遣している」と述べた。
アイルランガ経済担当調整相は、国際貿易や投資に関する信頼構築が必要とした上で、「ほとんどの多国間協定では『公正で透明性のある経済』が主要な柱になっている」とした。また、OECD加盟表明から250日以内に作成するとしていた初期覚書(2024年6月5日記事参照)について、「2025年第1四半期(1~3月)中に作成し、6月に開催されるOECD閣僚理事会で議論することが期待される」と強調した。さらに、プラボウォ大統領が掲げるGDP8%成長目標に関して、「目標達成の1つの方法が外国投資の受け入れだ。OECD加盟により良好な投資環境を構築する」と述べた。
インドネシア汚職撲滅委員会(KPK)のスティオ・ブディヤント議長は贈収賄行為について、「当該国でビジネスをする際に、外国公務員など(注)から便宜を得ることで、ビジネス関係者に違法な利益をもたらす可能性がある」とした上で、「インドネシアの人々はまだ外国贈収賄の概念になじみがなく、インドネシアには外国公務員に対する贈賄を犯罪とする法律が存在しない」と述べた。
ワークショップにはインドネシアの法務・人権・入国管理・矯正担当調整省や財務省、経済担当調整府、KPKの職員が出席した。OECDからは贈収賄作業部会やOECDインドネシア事務所の関係者らが講演した。
アイルランガ経済担当調整相による講演(ジェトロ撮影)
(注)日本では、外国公務員などは不正競争防止法第18条第2項に規定している。(1)外国の政府または地方公共団体の公務に従事する者、(2)外国の政府関係機関(独立行政法人など)の事務に従事する者、(3)外国の公的な企業の事務に従事する者、(4)公的国際機関(国連やWTOなど)の公務に従事する者、(5)外国政府等から権限の委任を受けている者が含まれる。
(大滝泰史)
(インドネシア)
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