欧州産業界、欧州委の単一市場戦略策定に向け提言、統合深化を強く要請
(EU)
ブリュッセル発
2025年02月18日
欧州委員会は1月29日に発表した「競争力コンパス」(2025年2月6日記事参照)の中で、域内産業の競争力強化に向け、2025年第2四半期(4~6月)に「単一市場戦略」を発表するとした。これに関し、ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は2月11日、欧州中小企業連合会(SMEunited)など5団体と共同で、同戦略に関する政策提言書を発表した。
6団体は、競争力強化や投資回復には、域内での拠点設立の自由や国境を越えた事業展開が重要と強調し、迅速な単一市場の深化や加盟国の独自ルールの撤廃が必要と訴えた。新戦略は企業にとってビジネス上の障壁を撤廃することに焦点を置き、次の5項目を実現するべきと提言した。
- 単一市場の完成に向けた明確なスケジュールと指標を立て迅速に行動する。欧州委の関係部署が連携し、あらゆる政策で単一市場を考慮し、真に水平的な政策を展開する。
- 企業の規制順守に伴う負担に関し、明確かつ測定可能な目標を示した野心的な軽減計画を策定し実行する。
- 欧州委はより迅速かつ自律的に、透明性を確保して、EU規制を逸脱する加盟国に対処するなど、単一市場におけるEU規制の執行を徹底する。
- 意思決定の各段階において影響評価を実施するなど、立法プロセスを全面的に見直すほか、適切な関係者が立法の準備段階から関与できるよう、欧州委の影響評価制度の管理と規制案を審査する規制精査委員会の権限を強化する。
- 欧州委と加盟国はEUおよび国レベルでの単一市場ルールの執行について協力を進め、市場監視については官民連携を活用する。
中小企業のビジネスチャンス拡大を促すことも必要との声
SMEunitedは2月12日、中小企業の視点から独自の提言も発表した(プレスリリース)。単一市場戦略は、国境を越えた事業の発展および国内での事業拡大という2つの側面を持ち合わせるべきとした。中小企業の多くは地場の市場を対象としていることから、EUの経済格差是正策である結束政策や地域資源の活用に重点を置く必要性を強調した。
(滝澤祥子)
(EU)
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