電子インボイス、一部中小零細企業への導入を2026年1月に延期

(マレーシア)

クアラルンプール発

2025年02月25日

マレーシアのアミル・ハムザ・アジザン第2財務相は2月20日、2025年7月1日の完全履行を予定していた電子インボイス(2024年5月29日記事参照)について、売上高15万リンギ(約510万円、1リンギ=約34円)超、50万リンギ以下の中小零細企業については、履行猶予を2026年1月1日まで延期すると発表した〔内国歳入庁(IRB)ウェブサイト「電子インボイス履行スケジュール」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。これにより、24万社以上の中小零細企業に対し、システム整備に向けた猶予期間が6カ月追加される。売上高50万リンギ超の企業は当初予定どおり7月1日からの導入が求められる。

なお、売上高15万リンギ未満の小規模事業者約70万社は元来、電子インボイスの導入義務を免除されている〔IRB「電子インボイスガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」第4.2版1.6.1(e)〕。ただ、免除対象をさらに拡大すべきとの見方もある。例えば、マレーシア中小企業協会(SAMENTA)は零細企業の公式な定義PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に従い、この基準値を30万リンギに引き上げるよう提言している。電子インボイスを導入するための資金や教育、技術的専門知識を欠いている企業が多いのがその理由だ。マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)が2024年11月に取りまとめた調査でも、システム整備に向けたコスト負担やリソースの不足を指摘する声が中小企業から上がっていた(2024年11月26日記事参照)。

電子インボイスは2024年8月1日以降、売り上げ規模の大きい企業から段階的に導入を義務付けられていた。同日以降、導入企業は2万5,173社に上り、1億8,130万件の電子インボイスが発行された。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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