1月のカナダ消費者物価指数、前年同月比1.9%上昇
(カナダ)
トロント発
2025年02月19日
カナダ統計局が2月18日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.9%の上昇率で、12月の同上昇率(1.8%、2025年1月29日記事参照)を0.1ポイント上回り(添付資料表参照)、上昇幅が微増した。
統計局は主な要因として、ガソリン(前年同月比8.6%増)や天然ガス(同4.8%増)などのエネルギー価格の上昇(同5.3%増)を挙げた。また、乗用車の価格は8カ月ぶりに前年同月比を上回って0.4%上昇し、新車は12月と比べて1月は2.3%上昇した。一方で、2月15日まで導入されていた「全カナダ人のための減税法(Tax Break for All Canadians Act、2024年12月19日記事参照)」の措置で、物価が下押し圧力を受けた影響により、上昇が部分的に相殺されたと説明した。減税策により、外食(前年同月比5.1%減)が大幅な減少を記録したほか、食料品も前年同月比で0.6%減少し、2017年5月以来初めての下落となった。
発表を受けて同日、CIBCキャピタルマーケッツのエグゼクティブディレクター兼シニアエコノミストのアンドリュー・グランサム氏は、減税法の影響が完全に反映されていない状態では、これらの指標はやや過大評価されている可能性があるとし、次回の政策金利は2.25%に下げる予想だが、関税を巡る不確実性とGDPや雇用統計次第と言及した。他方で、モントリオール銀行(BMO)のチーフエコノミスト兼マネジングディレクターのダグラス・ポーター氏は、今後2カ月で減税法の影響がデータから消え、全体のコアインフレ率が急速に上昇すると予想されるため、中央銀行は次回の会合では利下げを一時停止する可能性が高く、3月4日に迫るトランプ米政権によるカナダとメキシコ原産品への追加関税の動向が決定に大きな影響を与えるだろうとコメントした(2025年2月5日記事参照)。
中銀の次回の政策金利発表は3月12日に予定されている。
(井口まゆ子)
(カナダ)
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