南アでG20外相会合開催、ラマポーザ大統領がスピーチ
(南アフリカ共和国、世界)
ヨハネスブルク発
2025年02月26日
南アフリカ共和国が議長国を務めるG20の先陣を切って2月20~21日、G20外相会合がヨハネスブルクで行われた。議長は南アのロナルド・ラモラ国際関係・協力相が務め、日本からは岩屋毅外相が出席したほか、G20諸国やアルジェリア、オランダ、シンガポールなど招待9カ国の外相、国連、世界銀行、WTOなど国際機関の代表者らが出席した。米国・トランプ政権で外交を統括するマルコ・ルビオ国務長官は欠席した。
開会スピーチを行った南アのシリル・ラマポーザ大統領は、ダボス会議での特別演説(2025年1月27日記事参照)と同様、「協力やパートナーシップ、連帯こそが現下の(グローバルな)課題を解決できる」とし、「世界各国は、世界が直面している最も差し迫った問題に対するリーダーシップをG20に期待している」と指摘した。そして、「だからこそ、南アは議長国として『連帯、平等、持続可能性』をG20の中心に据えたのだ」と述べた。
アフリカ諸国で唯一のG20メンバー国であり、議長国を務める南アのラマポーザ大統領によるこのスピーチには、アフリカ諸国の声を国際社会やG20に届けたいとの思いの一方、気候変動や紛争、開発問題などに国際社会が一致して有効な方策を示せないことへのいら立ちや、基本的人権や多国間主義、国際法の原則などでさえ揺らいでいる現下の国際情勢への強い危機感がにじむ。「共通の目的に向かって努力する中で、『協力』こそが私たちの最大の強みであることを忘れないように」「建設的な関与を通じて共通点を見つけられるよう努めよう」との締めくくりの言葉には、そうした強い懸念や議長国としての責務とは裏腹に、そうあって欲しいとの願いや希望のみを述べたような、複雑な心境が吐露された。
G20外相会合は、共同声明を採択・発表できないまま、2日間の日程を終えた。ラモラ国際関係・協力相は議長総括の中で、アフリカの声に耳を傾け重視する必要があるとの認識や支持があった一方で、地政学的分断の拡大が不信感を助長し、貧困、気候変動、パンデミック、核拡散、武力紛争といった差し迫った世界的課題への取り組みにおいて私たちが成し遂げてきた進歩を台なしにする恐れがある、と述べた。なお、米国のスコット・ベッセント財務長官は、2月26~27日に開催されるG20財務相・中央銀行総裁会合の欠席を既に表明している。
ヨハネスブルク国際空港到着ゲートに掲げられた告知(ジェトロ撮影)
(的場真太郎)
(南アフリカ共和国、世界)
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