チリ政府、中南米共同開発の大規模言語モデル「Latam GPT」の詳細を発表
(チリ、中南米)
サンティアゴ発
2025年02月25日
チリ政府は2月13日、中南米地域で共同開発を行っている大規模言語モデル(LLM)「Latam GPT」についての詳細を発表した。このプロジェクトは、チリ国立人工知能センター(CENIA)が中心となり、地域の30以上の機関と60人以上の専門家らの協力のもとで進められている。また、チリの科学技術・知識・イノベーション省が各国との調整を支援し、ラテンアメリカ・カリブ海開発銀行(CAF)からの資金提供を受けることで実現している。
Latam GPTは、公的機関が進める中南米地域最大級のプロジェクトとして注目されている。オープンモデルであるため研究者や開発者らが自由に利用でき、地域の人工知能(AI)分野の発展につながることが期待されている。最初のバージョンのリリースは2025年6月ごろを予定している。
従来のLLMは、主に米国や欧州で開発され、中南米地域の文化的特性や言語のニュアンスが十分に反映されていなかった。これらLLMは、情報が不正確だったり、ハルシネーション(注)を引き起こしたりする可能性が指摘されており、2023年2月から中南米の特性を反映したモデルの構築に焦点を当てた初の地域LLM開発が始まっていた。
Latam GPTには、チリのみならずアルゼンチン、コロンビア、エクアドル、メキシコ、ペルー、ウルグアイの大学や政府機関、民間団体などが参画しており、それら機関の共同作業により数百万冊の書籍に相当する8テラバイト(TB)超のテキスト情報が収集された。パラメータ数はOpenAIのGPT-3.5に匹敵し、チリ・タラパカ大学にあるスーパーコンピュータが活用される。
(注)AIが実在しない内容や、事実とは異なる情報を作り出す現象のこと。
(岡戸美澪)
(チリ、中南米)
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