チャムパサック県日ラオス官民合同対話を開催
(ラオス、日本)
ビエンチャン発
2025年02月25日
在ラオス日本大使館およびラオス日本人商工会議所パクセー支部とチャムパサック県政府は2月17日、チャムパサック県日ラオス官民合同対話をラオス南部のパクセー市で開催した。同対話は、チャムパサック県内の投資環境改善を目的に2022年から開始された年1回の取り組みで、今回で4回目となる。ジェトロ、国際協力機構(JICA)ラオス事務所、国際協力銀行(JBIC)バンコク駐在員事務所が後援している。
本会議は小泉勉大使とアルンサイ・スンナラート県知事を共同議長とし、次の5分野の課題についてそれぞれ解決策が議論された。
- マルチビザ発行手続き問題の改善:現状は首都ビエンチャンに申請し、パスポートを提出する必要があり、申請には1カ月程度かかる。時間短縮と県内の発給を要請。
- 国道13号南線(8~19キロ区間)の道路改善:損傷が進んでおり、道路保守と街灯、センターラインの設置を要請。
- 停電問題の改善:停電の削減と事前通知制度の改善を要請。
- 税収管理情報システム(TaxRIS)による納税の分納:経済特区(SEZ)の入居企業はSEZ委員会に15%、TaxRISに85%の税金を分納する問題の解決を要請。
- ワンストップサービスの改善:SEZ委員会の各種ワンストップサービスにおける所要時間の明示や特急料金規定の作成を要請。
これに対し、チャムパサック県側からは次の回答があった。
- マルチプルビザは外務本省業務のため、県内で発行することは難しいが、中央政府と解決を図るべく協議する。また、スムーズな申請のためにサイン権限者が不在の際に代行を立てることについても検討する。
- 交通量が増加することも受け、アップグレードするための設置計画がある。ただし、予算承認がおりていない段階だ。
- 2024年は10回の停電があり、うち計画停電は3回だった。3日前までの通知する既存のルールを徹底する。
- 原因は、SEZの規則とTaxRIS制度の齟齬(そご)によるものだ。ルール改正が必要なため、2026年中にTaxRISに統一する。
- ワンストップサービスは、企業登録証や原産地証明書など、県窓口で発行できるものが増えている。ただし、中央政府の許可が必要なものも残っている。
アルンサイ県知事は今回の要望に対し、県内で対応できるもの以外に中央政府との調整が必要なものについても、各担当局は直ちに対応することを指示した。とりわけワンストップサービスについては、3月までに具体的な改善を行うこととした。また、年1回の対話のみならず、常時問題があれば相談をすることを提案した。
なお、同様な取り組みとして、日系企業とラオス中央政府との間で日ラオス官民合同対話を実施している。直近では、2024年12月13日に第18回対話を実施した。
チャムパサック県日ラオス官民合同対話の様子(ジェトロ撮影)
(注)税収管理情報システム(TaxRIS)とは、財務省が2018年から導入した法人税や付加価値税などのオンライン税務申告システム(2018年11月21日記事参照)。土地税などモジュールを順次開発し、拡張している。
(山田健一郎)
(ラオス、日本)
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