アフリカ・エネルギー・サミット開催、鉱物資源を裏付けに新たな通貨メカニズム提案

(タンザニア、アフリカ)

ナイロビ発

2025年02月12日

世界銀行やアフリカ開発銀行(AfDB)などが主催するアフリカ・エネルギー・サミットが1月27~28日、タンザニアのダルエスサラームで開催された。主催者によると、アフリカ30カ国から国家元首、政府首脳らが参加した。

世界銀行、AfDBなどは2030年までにアフリカで3億人に電力アクセス提供を目指す「ミッション300」というイニシアチブを展開している。アフリカでは6億人が電力へのアクセスがなく、かつ10億人がクリーン燃料へのアクセスがなく、薪や木炭を得るための森林伐採や公害などからの健康被害に苦しんでいる。今回のサミットでは「ダルエスサラーム宣言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を採択し、アフリカ各国政府やドナー、民間セクターが目標達成に向けて電力セクターの改革に取り組むことに合意した。

アフリカ12カ国が国家エネルギー計画を策定し、実施をコミットした(詳細はミッション300ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。例えば、タンザニアは計画で、2030年までに追加で830万世帯に電力アクセスを提供することや、再生可能エネルギー比率を現在の61.8%から75%に引き上げることなどにコミットした。こうした取り組みを支援するべく、2030年までにAfDBと世界銀行が480億ドル、イスラム開発銀行が26億5,000万ドル、フランス開発庁が10億ドル、アジアインフラ投資銀行(AIIB)が10~15億ドル、OPECファンドが10億ドルを民間資金の呼び水として拠出することもコミットされた。

また、AfDBはサミットで、重要鉱物を裏付けとしたアフリカのエネルギー転換を進めるためのファイナンスを促進する新たなメカニズムを発表・提案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。現在、アフリカでの電力プロジェクトの多くはハードカレンシーでファイナンスされているが、通貨の脆弱(ぜいじゃく)なアフリカ諸国ではファイナンスコストが非常に高く、障害となっている。新たなメカニズムでは、アフリカが豊富に資源を有するコバルトやプラチナ、マンガンなどの鉱物のバスケットを裏付けとした新たな通貨制度を構築し、安定的な通貨の下、電力プロジェクトのファイナンスを呼び込みたい考えだ。なお、現在のところ、メカニズムの実現性については何も発表されていない。

(佐藤丈治)

(タンザニア、アフリカ)

ビジネス短信 357787778252509b