スイスで英語と公用語以外の言語使用者の割合が増加

(スイス)

ジュネーブ発

2025年02月27日

スイス連邦統計局は2月17日、1年以上の滞在許可を所持する15歳以上のスイス居住者の使用言語に関する統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2023年12月末時点)を発表した。4つの公用語のうち、ドイツ語の使用者が61.4%で最大で、フランス語が22.6%、イタリア語が7.7%、ロマンシュ語(注1)が0.5%と続いた。公用語以外のその他の言語が24.4%で公用語以外を全てまとめると、ドイツ語以外の公用語よりも利用割合が高い結果となった。

連邦統計局の分析によると、過去50年間で緩やかな変化をみせており、ドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語を主要言語として話す割合は減少し、フランス語の割合が増加しているという。また、2010年以降、複数の主要言語を選択できるようになった結果、公用語以外の言語を挙げる人の割合が増えており、英語、ポルトガル語、アルバニア語が公用語以外の言語として多く挙げられているという。

職場で使われる言語では、スイス・ドイツ語(注2、就労者の60.9%)が最多で、ドイツ語(35.1%)、フランス語(27.7%)、英語(23.3%)、イタリア語(7.9%)、ポルトガル語(2.0%)、スペイン語(2.0%)、アルバニア語(0.9%)、イタリア語・ティチーノ方言(0.7%)、セルビア語・クロアチア語(0.7%)、ロマンシュ語(0.3%)、その他の言語(1.9%)が続いた。スイスの就労人口の45%は、仕事で少なくとも週に1回は複数の言語を使用しているという。他方、連邦統計局によれば、就労者が最も学びたい、あるいは上達したい言語は英語で、公用語であるドイツ語、フランス語、イタリア語を上回っているという。そのほか、スペイン語、中国語、ロシア語、スイス・ドイツ語が挙げられた。

自宅もしくは友人や家族と話す言語では、55.2%がスイス・ドイツ語を挙げており、フランス語(23.0%)、ドイツ語(11.5%)、イタリア語(8.3%)の3公用語が続く。公用語以外では、英語(6.8%)、ポルトガル語(3.6%)が最もよく使われており、アルバニア語(3.4%)、スペイン語(2.9%)、セルビア語・クロアチア語(2.3%)、イタリア語・ティチーノ方言(1.2%)、ロマンシュ語(0.5%)、その他の言語(9.5%)が続いた。

スイス公共放送協会国際部によると、スイスでは、39%の就労者が職場で2言語以上を主要言語として使用し、44%の子供たちは自宅で複数の言語に接している、と説明している。

(注1)スイス東部のグラウビュンデン州を中心に使用するラテン語起源の言語。同州およびスイスの4番目の公用語。

(注2)ドイツ語のスイス方言で、標準ドイツ語とは異なる語彙を持っており、公式の文語体を持たない。

(田中晋)

(スイス)

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