ガザ停戦が発効、ハマスは人質3人解放、イスラエルはパレスチナ人90人釈放
(イスラエル、パレスチナ、米国)
テルアビブ発
2025年01月20日
イスラエルとハマスの停戦が1月19日午前11時15分(日本時間同日午後6時15分)に発効した。停戦は当初、午前8時30分(同午後3時30分)に開始予定だったが、イスラエル首相府
によると、ハマスが19日に解放する人質のリストの提出が遅れていたため、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はイスラエル国防軍(IDF)に対して、「ハマスが提供を約束している解放予定の人質リストがイスラエルに届かない限り、8時30分に発効予定の停戦は開始されない」と指示していた。
人質全員の無事解放を願う1月18日の集会参加者(ジェトロ撮影)
停戦合意には3つの段階があり、第1段階は42日間(6週間)で、停戦、IDFのガザ地区の人口密集地からの撤退、ハマスによる人質の解放とイスラエルによる刑務所に収容しているパレスチナ人の解放、ガザ地区の住民の居住地への帰還、患者や負傷者が治療を受けるための出国の促進が含まれるとしている(2025年1月16日記事参照)。第1段階で、ハマスは女性、子供、高齢男性、傷病者の計33人を解放する予定で、1月19日付「タイムズ・オブ・イスラエル」紙によると、ハマスは停戦1日目に3人、7日目に4人、その後7日ごとに各3人、第6週に残りの14人を解放することになっている。一方、イスラエルは、ハマスによる民間人1人の解放につき30人のパレスチナ人、女性兵士1人の解放につき50人のパレスチナ人を解放することになっている。イスラエル法務省は1月17日に、イスラエルが刑務所から釈放予定のパレスチナ人734人のリストを公表している。
イスラエル首相府は1月19日夜、3人のイスラエル人女性が解放され、イスラエル領内に戻ったことを発表した。また、「タイムズ・オブ・イスラエル」紙(1月20日)によると、イスラエルは3人の人質解放と引き換えに、パレスチナ人90人を刑務所から釈放したとしている。
テルアビブの「人質広場」でイスラエル人3人の解放を見守る市民(ジェトロ撮影)
停戦の第2段階以降の行方は不透明だ。ネタニヤフ首相は停戦発効前日の1月18日夜に発表したビデオ声明で、トランプ次期大統領が合意の第1段階は「一時停戦」であることを強調したとして、「イスラエルが第2段階の交渉に効果がないという結論に達した場合、トランプ次期大統領もバイデン大統領も、戦闘に復帰するイスラエルの権利を全面的に支持している」と述べた。
ビデオ演説するネタニヤフ首相(イスラエル首相府提供)
一方で、停戦合意に反対していた右派政党「ユダヤの力」党首のイタマル・ベン・グビール国家治安相は1月19日、同党が連立政権から離脱したことを明らかにした。「タイムズ・オブ・イスラエル」紙(1月20日)によると、ベン・グビール氏は「ハマスに対する完全な勝利と戦争目標の完全な実現なくして、われわれは政府協議のテーブルに戻ることはない」と述べたという。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘、アリエル・マロム)
(イスラエル、パレスチナ、米国)
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