シンガポールと中国のFTA、新議定書が発効
(シンガポール、中国)
シンガポール発
2025年01月07日
中国・シンガポール自由貿易協定(CSFTA)のさらなるアップグレード議定書(以下、新議定書)が2024年12月31日に発効した。シンガポール貿易産業省(MTI)のプレスリリースによると、新議定書の主な内容は、「投資・貿易分野におけるより自由で透明性の高い規則の導入」「ネガティブリスト方式(自由化を約束しない分野を列挙する方法)への見直しに伴う市場アクセスの拡大」「電気通信サービス章の新設」。
投資分野では、内国民待遇において設立・取得・拡張が対象に含まれたほか、ローカルコンテント要求や技術移転要求などの特定措置の履行要求、特定の国籍を有する取締役などの任命を禁止した。サービス貿易分野では、一方の締約国が他方の締約国の供給者に対し、国境を越えたサービスの提供の条件として、自国の領土内に商業拠点を確立することなどを要求する「現地プレゼンス要件」を禁止した。
市場アクセス面では、建設・同関連エンジニアリングサービス、小売り・卸売り、建築・都市計画サービス、技術検査・分析サービス、賃貸など22分野で、シンガポール投資家の持ち分比率の上限が撤廃された。
電気通信サービス章を新設し、電気通信のルールを明確にした。国内規制プロセスの透明性を高め、技術革新や開発に関する共同活動への産業界の参加を促す。
このほかにも、デジタル経済に関する協力強化(新議定書第12条)が盛り込まれた。電子決済、デジタルID、データ、スマートシティなどを含むデジタル経済の分野におけるさらなる協力を実施するよう努めることが、規定された。
新議定書は、2023年12月に開催された第19回2国間協力共同委員会(JCBC)で署名され(2023年12月12日記事参照)、2024年11月に開催された第20回JCBCにおいて、同年12月31日に発効するとの合意が発表されていた(2024年11月21日記事参照)。新議定書は、シンガポール企業庁(エンタープライズシンガポール)のウェブサイトで確認できる。
(朝倉啓介)
(シンガポール、中国)
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