米国防総省、中国車載電池大手のCATLなどを「中国軍事企業」に認定
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年01月15日
米国国防総省(DOD)は1月7日、国防授権法(NDAA)の下で公表が義務付けられている「中国軍事企業」のリストを更新し、新たに中国の車載電池大手である寧徳時代新能源科技(CATL)や、IT大手の騰訊科技(テンセント)などを追加した。
NDAAとは、国防関連予算の分配や政策方針を定め、会計年度ごとに成立させる法律。2021年度NDAAの第1260H条において、中国軍と協力しているとされる企業を2030年12月31日まで毎年公表することが定められた。DODは、リストの更新は、民間団体のように見える企業や大学、研究プログラムによって開発された高度な技術と専門知識を中国軍が取得し近代化を図る「軍民融合戦略」に対抗するための措置だとしている。
今回のリスト追加による具体的な制裁などの措置はないが、広東省深セン市の証券取引所で上場するCATLの1月7日の株価終値が2.8%下落、テンセントの香港上場株も同日に7.8%下落するなど、企業価値に影響した(ロイター1月9日)。
CATLは米自動車メーカーのフォードやテスラとのライセンス契約が報じられるなど、米国でも一定の存在感を示している。2024年11月には、CATLのロビン・レン創業者兼社長が「当初、米国に投資したいと思った際、米国政府は拒否した。しかし、私はとてもオープンマインドだ」と述べており、米国参入に前向きな姿勢が注目されていた(2024年12月17日付地域・分析レポート参照)。
今回の措置に関し、CATLは「軍事関連の事業や活動には一切関与したことがないため、DODによるこの指定は誤りだ」「当社は、当社および株主全体の利益を守るため、必要に応じて法的措置も含め、DODに対し、積極的に適切な情報提供などをして、誤った指定に対処する」と強い姿勢を示した。
(大原典子)
(米国、中国)
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