大型投資奨励制度で初の承認案件、申請済みは8件に
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年01月09日
アルゼンチンのルイス・カプート経済相は2024年12月23日、ミレイ政権が導入した投資促進策「大型投資奨励制度(RIGI)」(2024年8月20日記事参照)の適用を受ける最初の案件が承認されたことを自身のSNSを通じて明らかにした。それによると、承認を受けたのは、国有石油会社YPFの関係会社で、発電事業を手掛けるYPF Luzの太陽光発電所のエル・ケマードの建設プロジェクトだ。
RIGIは、2024年7月8日に公布された「アルゼンチン人の自由のための基盤および出発点に関する法律」(通称:オムニバス法、または基盤法、2024年6月17日記事参照)により導入されたもので、最低2億ドルの投資を条件に、資本取引規制の例外的な措置や所得税の減免などさまざまな優遇措置を受けることができる。
RIGI適用を申請した案件は、経済省決議814/2024号により設置した大統領府と経済省の関係部局で構成した「プロジェクト評価委員会」で評価される。カプート経済相は「ほかにも評価中のプロジェクトが6件あり、さらに数件が提出間近」としている。
その後のカプート経済相や申請企業による発表、各種報道をまとめると、1月7日までに8件のプロジェクトが申請済みとなっている(添付資料表参照)。これまでの申請案件を見ると、エネルギー・鉱物資源への投資に集中している。
RIGIは、外国直接投資の受け入れ拡大によって外貨収入を増やすミレイ政権の切り札の1つだが、アルゼンチン経済が本当に再生するのか、急進左派政権の再登場を不安視し、様子見している投資家がいるのも事実だ。マクロ経済のさらなる安定と外貨準備高の蓄積といった課題への取り組みは引き続きミレイ政権の課題となっている。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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