米USTR、2024年の模造品・海賊版に関わる悪質市場の調査結果を発表

米国通商代表部（USTR）は1月8日、2024年の模造品・海賊版に関する悪質市場の調査結果を公表した。今回は38のオンライン市場と19カ国33の物理的な市場が掲載された。

今回掲載された市場は前回2022年版とほぼ同数だが（2024年1月31日記事参照）、閉鎖などにより掲載されなかった市場や新たに追加された市場がある。例えばベトナムのFmoviesは、人気映画やテレビ番組の海賊版のストリーミング配信を行うウェブサイトで2017年から掲載されていたが、ベトナムのハノイ警察が米国国土安全保障捜査局（HSI）や米国司法省などと協力して閉鎖したため、今回は掲載されなかった。一方で、中国のバイトダンスが所有する、ソーシャルコマースプラットフォーム（注）の抖音商城（Douyin Mall）は、同プラットフォーム上で模造品が急増していることや、それらの削除要請に長期間対応していないことなどを理由に、今回初めて追加された。なお、電子商取引（EC）市場の淘宝（タオバオ）やDHゲート（DHGate）、拼多多（ピンドゥオドゥオ）、クラウドサービスの百度ワンパン（Baidu Wangpan）などは引き続き掲載されている。

例年、特定のテーマに焦点を当てるセクションでは、違法なオンライン薬局と偽造医薬品を取り上げた。違法なオンライン薬局が増加していること、健康や安全上のリスクを含む偽造医薬品の危険性について説明している。

今回の発表に際し、USTRのキャサリン・タイ代表は、模造品や著作権侵害は世界共通の懸念事項だとし、「（米国の）貿易相手国が模造品や海賊版対策で米国と協力することを求める」と述べた。

（注）ソーシャルコマースとは、インターネット上の交流サイト（SNS）など経由でECを行うこと。

（赤平大寿）