在タイ日系企業、非製造業者の脱炭素化への対応遅れが顕著

(タイ)

調査部

2025年01月10日

ジェトロが在タイ日系企業に例年実施しているアンケート調査(注)の「脱炭素化への取り組み」に関する設問項目の回答集計結果によると、2021年から2023年まで「既に取り組んでいる」との回答割合は、28.4%から36.2%へと上昇傾向にあることがわかった。しかし、2024年8~9月の調査結果では、同割合は34.6%にやや低下した。また「取り組む予定はない」も、2021年の43.4%から2023年には29.0%と低下傾向にあったが、2024年は29.7%と若干上昇した。2021年以来、在タイ日系企業の脱炭素化取り組みは総じて拡大傾向にあるものの、2024年にその勢いが鈍化した(添付資料表参照)。

この理由について、業種別にみると、製造業では「既に取り組んでいる」割合は、2022年以降4割台で、微増ながらも着実に上昇傾向にある(「取り組む予定はない」も、2023年の23.1%から2024年には19.5%へ低下)。一方、非製造業では、「既に取り組んでいる」割合は2023年の29.5%から2024年には22.3%へ大きく低下している(「取り組む予定はない」も2023年35.8%から2024年には42.9%に上昇)。

規模別にみると、大手製造業者は「既に取り組んでいる」は2024年に若干低下したものの、中小製造業者は上昇。「取り組む予定はない」も、大企業、中小企業とも低下している。その一方で、大手非製造業者は「既に取り組んでいる」が2023年の44.9%から2024年に30.1%へと大幅に低下した。中小非製造業者も、2023年の19.9%から2024年は15.7%へと低下している。「取り組む予定はない」割合も大企業、中小企業とも割合上昇が顕著となっている。

つまり、大企業に比べて中小企業の脱炭素化取り組みの遅れが見られることはもとより、2024年度調査結果からは、製造業者では、その取り組み内容や速度はさておき、着実に脱炭素化対応が進む一方、非製造業者による対応遅れが顕著となっている。

(注)ジェトロ「海外進出日系企業実態調査アジア・オセアニア編(2021年、2022年、2023年、2024年版)」

(川田敦相)

(タイ)

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