トルコ向け水産食品輸出の衛生証明書様式が明確化
(トルコ、日本)
イスタンブール発
2025年01月22日
トルコ向け水産食品輸出に必要な衛生証明書の様式が、日本の農林水産省のウェブサイトで公開された。対象はEU向け輸出に準拠したものとなっており、EU向け輸出水産食品取扱認定施設であれば、トルコへの輸出が可能だ。
トルコ農業・森林省によると2023年の水産食品輸入額は2億7,900万ドルで、主にモロッコやノルウェー、スペインといった国からアジ、サバ、サーモンなどが輸入されている。アジアからの水産食品の輸入は、マレーシア、中国、インド、韓国などからが多い。
トルコ向けの水産食品輸出は、トルコ政府が求める衛生証明書の様式に沿った書類発行ができる機関が日本側で定まっておらず、過去の日本の財務省輸出統計では水産食品の継続的な輸出実績はほぼ確認されていなかった。そのため、実質的に日本からの輸出は難しいと考えられていた。今回の発表で取り組み事業者が増えると予想される。
トルコは伝統的に「トルコ食至上主義」といわれる保守的な食嗜好(しこう)だが、近年は少しずつ変化している。農林水産省が発表しているトルコ国内の日本食レストランの件数は260件で、増加傾向にある。日本政府観光局(JNTO)によると、2023年の訪日トルコ人観光客は3万1,198人
で新型コロナ禍前の水準を大幅に上回っており、2024年は上半期(1月~6月)のみで約2万9,000人にのぼる。好調なインバウンドも、トルコでの日本食人気の後押しとなっている。高インフレが引き続き社会課題とされ、中でも日本食の価格帯は比較的高めだが、お金を払ってでも質の高い日本食を食べたい、という富裕層も存在する。
他方、遺伝子組み換え食品に対する厳しい輸入規制、一定の品目に係る高関税など、食品輸入に対する全体的なハードルは高い。従って、現状ではまだ日本産食材の流通は限定的だが、日本食ブーム黎明(れいめい)期ともいえるトルコにおいて、市場が拡大する可能性がある。
(友田椋子)
(トルコ、日本)
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