中・東欧最大級のゲーム展示会・開発者会議、ポーランドで共同開催、日本企業も参加
(ポーランド、日本)
ワルシャワ発
2024年11月05日
中・東欧最大級とされるゲーム産業展示会「ポズナン・ゲーム・アリーナ(Poznan Game Arena、PGA)」と、開発者会議「ゲーム・インダストリー・カンファレンス(Game Industry Conference、GIC)」が10月24~27日、ポーランド西部ポズナンの国際見本市会場で共同開催された。両イベントは2012年から共同開催しており、2024年は主催者によると、約6万1,000人(PGA)、約3,300人(GIC)が来場した。
PGAでは、新作ゲームの発表のほか、ポーランド国内外のトリプルエー(AAA、注1)からインディーゲーム(注2)までの展示、eスポーツ(注3)のトーナメント大会、ゲーム開発者などを招いたパネルディスカッションが行われた。
PGAの会場(ジェトロ撮影)
GICでは、開発者同士の交流や、人材育成・採用に焦点を当てているのが特徴的だ。商談ブース、ビジネスマッチング、パネルディスカッションにとどまらず、「ギーク・キャリアーズ(Geek Careers)」と呼ばれるリクルーティングイベントのほか、開発現場の話から業界での女性の活躍まで、幅広いジャンルを扱うワークショップが実施された。ワークショップは、ジャンルやキーワード、3段階の難易度にあらかじめ分類されており、参加者が自らの関心、キャリアに合わせて選べるように工夫されていた。
GICの会場(ジェトロ撮影)
また、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を見据え、ポーランド投資・貿易庁(PAIH)が主催するゲーム産業ビジネスミッションに招聘(しょうへい)された日本企業も同イベントに参加した。
参加企業の1つ、コンピュータゲームのローカライズを行うハチノヨンのシニアローカライズマネージャー長谷川亮一氏は「ポーランドでは、産学官が連携してゲームビジネスに力を入れているのが非常に印象的だった。特に万博での国産ゲームの展示や日本から関係者を国費で招くなど、国としてゲーム業界の将来性を非常に重要視していることがうかがえた」と述べた。
日本企業の商談ブース(ジェトロ撮影)
ポーランドのゲーム開発会社アンシャー・スタジオズ(Anshar Studios)のプロデューサー、アレクサンデル・ジェテルスキ氏は「1989年の民主化後に流れ込んできた日本のコンテンツに触れて育ってきた当時の若者たちが今日のゲーム業界の第一線に立っている。われわれは日本のカルチャーに親しんでおり、日本企業とのビジネスにも意欲的だ」と強調した。
ポーランド企業の商談ブース(ジェトロ撮影)
(注1)AAAは、膨大な開発予算や人材,技術をつぎ込んだゲームのこと。
(注2)インディーゲームは、インディペンデント(独立系)ゲームの略で、少人数・低予算で開発されたゲームソフトを主に指す。
(注3)eスポーツは、コンピュータゲームやビデオゲーム、モバイルゲームなど電子機器を使ったスポーツ対戦競技のこと。
(金杉知紀)
(ポーランド、日本)
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