カザフ国営原子力企業とシーメンス、産業機器の現地生産へ
(カザフスタン、ドイツ)
タシケント発
2024年11月06日
カザフスタン国営原子力企業カズアトムプロムは10月16日、ドイツの電機大手シーメンスと、カザフスタンでの産業機器の生産に関する合意文書に署名したと発表した。カズアトムプロムの子会社でITインテグレータのKAPテクノロジーが、シーメンスと共同でカザフスタン南部に位置するテュルキスタン市に生産拠点を設立・運営する。
両社は、精密測定機器、産業自動化装置などを生産し、カザフスタン製造業向けに供給する。これまで外国からの輸入に頼っていた産業機器をカザフスタンで生産し、国内製造業に供給することで輸入代替(注)を促進する。カズアトムプロムのメイルジャン・ユスポフ会長は、同社では輸入代替を推進し国内製造業を支援すると言及したうえで、「シーメンスと協力して生産を現地化することで、カザフスタン企業の自動化とデジタル化の水準を向上させる」と述べ、カザフスタンの製造業の競争力強化に寄与する考えを述べた。
ドイツのオラフ・ショルツ首相のカザフスタン訪問に合わせ、9月にアスタナで開催された両国ビジネスフォーラム(2024年9月25日記事参照)では、シーメンスによるカザフスタン現地生産への貢献が確認された。本共同事業はそれを具体化するもの。シーメンスは2019年からKAPテクノロジーのパートナーとなっており、自動化分野で協力関係を築いてきた。また、2023年11月にはカズアトムプロムはKAPテクノロジーとともにシーメンスと合意文書を締結。グループ会社におけるデジタル化や自動化に取り組んできた。
カザフスタンでは、機械関連の供給を輸入に頼っている。カザフスタンの投資促進機関であるカザフインベストによると、2022年のカザフスタンでの機械生産額が68億ドルだったのに対し、輸入額は約3倍の200億ドルに上っており、現地生産の拡大が課題となっている。
(注)外国から輸入していた製品を国内生産に切り替えることで自給化すること。
(一瀬友太)
(カザフスタン、ドイツ)
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