9月の物価上昇率は前月比3.5%、2021年11月以来最低に
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2024年10月30日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は10月10日、9月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均値で前月比3.5%だったと発表した。前月比の伸び率としては、2021年11月以来、最も低い水準となった。前年同月比(年率)では209.0%と、10カ月連続で伸び率が200%を超えたものの、顕著に減速している(添付資料図参照)。1~9月累計の物価上昇率は101.6%だった。
9月の前月比の伸び率を項目別に見ると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは2.9%で、前月の1.5%から加速した。他方、季節要因などを除いたコアインフレ率は3.3%で、前月の4.1%から減速した。エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは4.5%で、前月の5.9%に比べて減速した。
前月比の伸び率を費目別に見ると、平均値を上回ったのは住宅・光熱その他燃料の7.3%、衣類・靴類の6.0%、教育の4.3%、外食・ホテルの3.7%だった。INDECによると、これらは前月同様、水道やガス、電気などの公共料金や家賃の値上げ、季節の変わり目による衣類などの値上げが原因だ。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は2.3%で、8月の3.6%からは減速した(添付資料表1参照)。
10月10日と11日付の現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)と「インフォバエ」(電子版)は、CPI上昇率に政府の期待するような大幅な減少はみられなかったものの、今後も緩やかな減速を続けていくとの多くのエコノミストらの見方を伝えている。10月から2024年末にかけてのCPI上昇率は、9月の上昇率をさらに下回る3.0%台にとどまるとの見通しだ。「社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税(通称:パイス税)」の税率が17.5%から7.5%まで引き下げられたことで(2024年9月3日記事参照)、値下げされた品目があるほか、10月初めには一部燃料の値下げもあった。実際、ジェトロが10月24日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査(添付資料表2参照)でも、ガソリン、軽油がそれぞれ1.0%と2.0%値下げし、その他にも複数の品目で値下げが確認された。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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