第3四半期のGDP成長率は4.1%、製造業が牽引
(シンガポール)
シンガポール発
2024年10月24日
シンガポール貿易産業省(MTI)は10月14日、2024年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率の速報値(注1)を前年同期比4.1%と発表した。第2四半期(2.9%)と比べて成長率は1.2ポイント増加し、成長が加速した。2022年第4四半期以降はじめて実質GDP成長率が4%を超えた。前期比(季節調整済み)では2.1%成長した。
産業別にみると、製造業は、前期のマイナス成長(前年同期比マイナス1.1%、改定値)からプラスに転じ、前年同期比7.5%増だった。MTIは、バイオメディカル製造を除くすべての分野で生産が拡大したことを理由に挙げた。前期比でも9.9%成長した。建設業は前年同期比3.1%成長したが、前期(4.8%)からは減速した。サービス業は前年同期比3.3%(前期は3.6%)成長した。うち、「情報・通信業、金融・保険業と専門サービス業」が4.3%成長と最も高い成長率だった。
物価は安定的な上昇、金融政策を維持
シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は10月14日、これまでの金融政策を維持すると発表した。同庁が金融政策の維持を発表するのは2023年4月以降、連続して6回目。
MASは政策金利を設定せず、シンガポール・ドルの名目実効為替レートの誘導目標(政策バンド)を定める金融政策を実施している。MASは金融政策を維持した理由として「現在の金融政策が、中期的な物価安定と整合的であるため」とした。
MASは、MTIが同日発表した第3四半期の経済成長率速報値を引用して、経済成長の勢いが予想を上回ったと述べ、「2024年の残りの期間、シンガポールの成長は、エレクトロニクス産業や景気循環の継続的な改善、世界的な金融情勢の緩和によって維持される」とし、通年のGDP成長率は予測範囲(2~3%)の上限に近づくと予測した。
MASコアインフレーション指数(MASコア、注2)は、7~8月に前年同期比2.6%となり、第2四半期(同3.0%)と比べて低下した。MASは、MASコアは第4四半期も低下傾向が続くとして、2023年の前年同期比4.2%から低下し、2024年は2.5〜3.0%の上昇率になると予測した。
(注1)速報値は主に2024年7~8月の統計に基づく。
(注2)消費者物価指数(総合)から住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いた指数。
(糸川更恵)
(シンガポール)
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