米国土安全保障省、中国からの不法移民をチャーター便で送還、2024年は2度目
(米国、中国)
ニューヨーク発
2024年10月24日
米国の国土安全保障省(DHS)は10月17日、米移民税関捜査局(ICE)を通じて、米国に不法滞在している中国人をチャーター便で中国へ送還したと発表した。チャーター便での送還は2024年で2度目となり、1度目は6月末に2018年以来6年ぶりに実施した(2024年7月11日記事参照)。米主要メディアによると、1回目は116人、今回は131人が対象となった。DHSは今回の送還について、不法移民の数を減らし、抑制するために、DHSが中国やその他の国際的パートナーと継続的な連携を追求した取り組みの結果だとした。
中国が2022年8月、中国籍の不法移民を米国から強制送還することへの協力を中止した後、中国からの不法移民は急増し、2023年に南部国境で拘束した中国人は3万7,000人と、前年の10倍となっていた。その後、同年11月にジョー・バイデン大統領と習近平国家主席が会談してから、中国は不法移民の中国への強制送還に協力を再開した(AP通信5月9日)。
不法移民は2023年末から2024年初にかけて拡大していたが、最近は減少傾向にある。DHSは、バイデン大統領が6月4日に、国境警備隊が不法移民と遭遇する件数が一定数を超えた場合に入国制限措置を取ることにより特定の不法移民の入国を一時的に停止や制限を課す大統領布告(2024年6月5日記事参照)を出してから、国境警備隊が不法移民と遭遇した件数は55%以上減少したと発表した。
税関・国境警備局(CBP)によると、6月の大統領布告の発表後、南部国境での不法移民との遭遇件数は、発表前の5月(11万7,905件)から、7月以降は10万件台が続き、9月(10万1,790件)は前年同月の4割程度に減少した。
(吉田奈津絵)
(米国、中国)
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