8月後半~9月の経済活動はわずかに増加、米シカゴ地区連銀の経済報告
(米国)
シカゴ発
2024年10月29日
米国連邦準備制度理事会(FRB)が10月23日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック、注1)で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、8月後半から9月にかけての同地域の経済活動は全体的にわずかに(slightly)増加したと報告した。関係者は引き続き、今後1年間の消費需要は同様の傾向になると予想している。
同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用はわずかに増加した。関係者は今後1年間も同様のペースで雇用増加が続くと見込んでいる。製造業では、引き続き高い技能を要する職種の人材確保が難しいという報告がある一方、労働市場は軟化しているとの報告が多く寄せられた。
個人消費は報告期間中、控えめに(modestly)増加した。関係者はあらゆる所得層で顧客が「ワンランク下の商品を選ぶ」傾向にあると指摘した。自動車以外の小売売上高は控えめに増加した。自動車販売台数は、手頃な価格帯と高級価格帯の両セグメントで増加、中型のスポーツ用多目的車(SUV)とトラックでは減少したが、全体的にはわずかに増加した。
企業支出、資本支出ともにわずかに減少した。トラック輸送の需要は引き続き減少したが、トラック運賃は横ばいだった。
製造業の需要はわずかに減少した。鉄鋼の受注は重機、エネルギー、自動車部門からの減少がインフラやデータセンター建設の需要の増加よりも大きかったため、全体的に減少した。加工金属の受注は、住宅建設と重機製造部門からの需要の鈍化のため、わずかに減少した。
同地区での農業所得の見込みは、報告期間中に平均以上のトウモロコシと大豆の収穫が見込まれたにもかかわらず、横ばいとなった。トウモロコシと大豆の価格はわずかに上昇し、農家は後に高値で販売することを期待して、作物の貯蔵を最大限に増やした。
個々の調査対象項目ごとの詳細は添付資料表参照。
(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告やビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。
(注2)アイオワ州、イリノイ州北部、インディアナ州北部、ウィスコンシン州南部、ミシガン州南部。
(星野香織)
(米国)
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