ドイツ自動車用電線メーカーLEONIを中国企業が買収

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2024年10月03日

ドイツ自動車用電線メーカーのレオニ(LEONI)と中国の電子機器受託製造サービス(EMS)大手のラックスシェア(立訊精密工業)は9月17日、戦略的連携協定を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

戦略的連携の一環として、ラックスシェアがレオニの株式50.1%を取得し、同社の配線システム(WSD)部門への投資を行う。株式は、レオニの単独オーナーのシュテファン・ピーラー氏が売却する。加えて、ラックスシェアの子会社であるタイム・インターコネクト・シンガポールが、レオニ傘下のオートモーティブ・ケーブル・ソリューションズ(ACS)部門を完全に買収する。ドイツ「フランクフルター・アルゲマイネ」紙(9月19日)によると、ラックスシェアによるレオニの株式取得の総額は2億500万ユーロ、ACS部門の買収の総額は3億2,000万ユーロ。買収完了のためには、競争法に基づいた審査・承認が必要となる。

レオニは、レオニの東欧、北アフリカおよび南米・北米市場での強みと、ラックスシェアの中国およびベトナムでの生産力により、両社は競争力を維持しながら各地域の顧客ニーズに柔軟に対応していくことができるとした。また、中国市場へのより良いアクセスにも期待している。

レオニの最高経営責任者のクラウス・リナベルガー氏は、ドイツ企業、特にサプライヤーは中国企業と連携せずに急成長する中国市場に参入するのは困難であり、またそうすることで中国企業が欧州に進出する際に連携できると述べた(ドイツ経済紙「ハンデルスブラット」9月18日)。レオニが本社を置くバイエルン州のフーベルト・アイバンガー経済・開発・エネルギー相は、今回の中国企業による買収はドイツ自動車産業の厳しい状況を背景に不可避だった、とコメントした(ドイツニュース番組「BR24」9月20日)。

他方、ドイツ有価証券保護協会(DSW)や投資者保護団体(SdK)は、今回の買収を非難している。2021年に施行された「企業の安定化および再建の枠組みに関する法律(StaRUG)(注)」が適用されたことにより、少数株主が不利益を被ったとした(「フランクフルター・アルゲマイネ」紙9月19日)。

(注)原則として24カ月以内に支払い不能に陥るおそれのある企業を、倒産状態の処理としてではなく、企業の安定化および再建を早期の段階で進められるよう、多数決で債務処理を行える手続き。

(クラウディア・トーディ、鷲澤純)

(ドイツ、中国)

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