米港湾スト、米税関が入港・通関ガイドライン公表、労使交渉は解決の糸口つかめず
(米国)
ニューヨーク発
2024年10月03日
米国税関・国境警備局(CBP)は9月30日、米国東海岸とメキシコ湾岸の港湾でのストライキの影響を受ける船舶の入港手続きや貨物の通関手続きに対するガイドラインを発表した。
米国の港湾を目的地とする船舶は通常、米国の港湾内で静止した時点で入港したとみなし、入港後48時間以内にCBPに入港を申告する必要がある。だが、今回発表されたガイドラインでは、港湾混雑を考慮し、ストライキの影響を受けた港湾では、船舶からの要請に応じて港湾外でも入港申告を受理する場合があるなどとした。また、通関手続きに関しては、ストライキの影響により船舶が航路を変更した場合に、電子申請システム(ACE)上で到着港湾の情報を更新する手順などを示した。
米国東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者は10月1日にストライキに突入した。港湾労働者の雇用者団体の米国海運連合(USMX)と国際港湾労働者協会(ILA)の労使交渉が、現行労使協約期限の9月30日を迎えてもまとまらなかった(2024年10月1日記事参照)。米国のジョー・バイデン大統領は10月2日、USMXに対して適切な賃上げを含む労使協定交渉を行うよう求める声明を発表した(2024年10月3日記事参照)。
労使交渉は解決の糸口まだつかめず
USMXは10月1日に労使交渉の進捗に関する声明を発表し、USMXが労働者の団体交渉プロセスを尊重していることや、ILAに対して約50%の賃上げを提示していることなどを説明した上で、ILAに対して交渉のテーブルに戻るよう呼びかけた。これに対して、ILAも同日に声明を発表し、賃上げのベースとなる現在の給与水準の低さを主張したほか、ストライキに突入する直前までUSMXがこうした条件提示を行わなかったなどと訴えた。ILAは「USMXの発表は事実を歪曲(わいきょく)し、世間を欺こうとしている」と強く反発しており、両者の主張は依然として平行線のままだ。
港湾労使交渉の動向はジェトロ特集「国際物流の混乱と企業の対応状況」も参照。
(葛西泰介)
(米国)
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