小鵬匯天、空飛ぶクルマの量産工場を着工
(中国)
広州発
2024年10月31日
中国の電気自動車(EV)メーカーの小鵬汽車(Xpeng)傘下でエアモビリティーを開発する広東匯天航空航天科技(AeroHT、以下、小鵬匯天)は10月27日、小鵬匯天空飛ぶクルマスマート製造基地の着工を発表した。世界初の組立ライン生産方式(注1)を利用した大規模量産を行う空飛ぶクルマの工場で、自社製の分割型空飛ぶクルマ「Land Aircraft Carrier(陸地航母)」(2024年9月18日記事参照)の飛行モジュール(注2)の生産に使用され、年間生産能力が1万台に達する見込みだ。
同基地は広東省広州市開発区に位置し、第1期工事の敷地面積は約18万平方メートル。複合材料、連結、塗装、組み立ての4つの作業場と付属施設を設置する計画だ。同基地は航空産業の高い品質要件と自動車製造における大規模製造の特徴と経験を融合させ、伝統的な航空産業の製造に比べ、より優れた品質安定性で、より低いコストで、より短い納品サイクルを実現できるという。
また、グリーンエネルギー、二酸化炭素(CO2)排出の削減が重視される。全工場で太陽光発電を採用し、高エネルギー消費施設に対して省エネ設備を全面的に完備している。そして、デジタルエネルギー管理システムを採用し、工場のエネルギー消費と使用効率をリアルタイムで監視することによって、二酸化炭素排出量の大幅な削減を図る。
小鵬匯天の仇明全副総裁は、年間生産1万台という規模感について、「現在、世界中にある航行可能な航空機、ヘリコプター、固定翼機などをすべて合わせても、全世界生産量は2,000~3,000台ほどしかない。世界最大航空機メーカーのボーイングの年間生産量も500台程度」と述べた。仇氏は続けて、「世界初のライン生産方式で航空機を量産する工場として、小鵬匯天はこの業界に大量生産の事例を提供したいと考えている」と語った(「界面新聞」、10月28日)。
(注1)ある期間において、単一の製品を大量に製造するための方法。いわゆる流れ作業。
(注2)分割型空飛ぶクルマ「Land Aircraft Carrier(陸地航母)」は、陸上走行モジュールと飛行モジュールから構成される。各モジュールは完全分離でき、飛行時は飛行モジュール単体で飛行、陸上走行時は飛行モジュールを陸上走行モジュール内に完全収納した状態で地上走行を行う。
(汪涵芷)
(中国)
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