新たに就任したピチャイ商務相、政策指針を発表
(タイ)
バンコク発
2024年09月20日
タイで9月6日に就任したピチャイ・ナリプタパン商務相は16日、ナピントーン・シーサッパーン商務副大臣や、ウティクライ・リーウィーラパン商務次官、商務省の幹部に対し、同省の今後の政策指針を伝えた。省内一丸となってタイ経済の活性化に向けて努力するよう呼びかけた。
ピチャイ大臣は、前商務相のプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相の政策指針を引き継ぎつつ、急速に変化する世界の貿易環境に対応した新たな施策を実施していくとし、次の10の指針を説明した。
- 雇用と流通チャネルを創出し、商機を拡大させることで、人々の支出を削減し、収入を増加させる。イノベーション・技術の活用機会を拡大し、貿易の潜在性を強化する。
- 消費者にとって良い品質の製品を適正価格で提供しつつ、供給側の農家や事業者も持続可能なかたちで利益増を見込めるよう、バリューチェーンでの消費者、農家、事業者のバランスを調整する。
- 商務省の地方事務所と国外に駐在する商務官を積極的に連携させ、タイの輸出産品を既存市場でより競争力あるものにしつつ、新市場に参入させる。
- 世界の貿易情勢の変化に対応し、時代遅れの法律や規制を改正する。
- 草の根経済政策を活性化させる(一村一品など地方産品の育成ほか)。
- 積極的な経済外交、新たな貿易市場の開拓、商品の競争力強化、物流システム開発などを通じ、輸出拡大を推進する。
- 投資と輸出の機会を拡大するため、貿易パートナーとの新たな自由貿易協定(FTA)締結を探りつつ、現在進行しているFTA交渉を加速させる。既存のFTA利用を促進する。
- タイ企業の国外進出、海外投資を支援する。
- 新Sカーブ産業(注)に沿って、輸出部門を再編し、輸出増を加速する。
- タイの起業家の環境配慮型商品市場への参入を奨励する。
(注)タイ政府による用語で、ある産業が幼稚産業の段階から発展期を迎えて、その後徐々に成熟してゆく様子をアルファベットのS字になぞらえ、タイで新たな育成対象となる産業を「新Sカーブ産業」としている。対象業種は「医療」「バイオテクノロジー」「デジタル」「航空」「自動システム・ロボット」「防衛」「人材開発・教育」。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ)
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